税務調査はいくつかの種類に分けられますが、今回ご紹介するのは「反面調査」についてです。反面調査とは、対象となる企業の金銭の流れなどを把握するために、取引先企業や銀行などに対して行う調査になります。
税務調査において必要となった場合には、調査官が反面調査を行うことが法律で認められています。とはいえ、こうした調査をされては、取引先との関係が悪くなってしまうこともあるので困りますよね。この記事では、もし取引先の反面調査の対象として、自社が選ばれた場合にどのように対応すればよいのか紹介します。
目次
反面調査が行われる要件とは
反面調査はよほどのことがないと行われませんが、明らかに帳簿を詐称していたり、偽の領収書などを発行しており、正しい調査が行えないと判断された場合は、反面調査の対象となりますし、資料の提出を拒むなど、税務調査に非協力的な対応を行うと反面調査が行われやすくなります。また、各従業員や退職した人への調査が行われることもあります。
その他、意図して悪いことをしていなくても、自然災害や火災などで税務調査に必要な書類が消失、水没してしまった場合などにも、反面調査は行われてしまいます。つまり、不可抗力により調査をするしかないというケースもあるということは理解しておきましょう。
反面調査が入ったら、冷静に対処する4つのポイント
ポイント1. 来社理由は必ず確認
調査官が反面調査をすると言って突然訪れた場合、拒否する事はできないと法律で定められています。ただし、責任者の立ち会いなしには調査を行えないため、責任者が不在であれば調査官は帰るしかありません。
この時、要件を確認することはとても重要です。調査官は調査ができないと分かったら、要件を言わずに帰ってしまうことがあるため、なぜ税務署から調査官が来たのかを理解できていないと、次回現れた場合に備えての準備ができません。
必ず要件を確認し、できれば名刺を受け取っておくとよいでしょう。
ポイント2.反面調査に来たことを取引先に連絡する
反面調査が実行されることになったら、速やかに取引先に連絡をし、事情を説明して反面調査に協力することを伝えてください。
調査の中で嘘をついたり、黙秘することは法律で認められていないため、「事実を話します」と必ず伝えておきましょう。
ポイント3.反面調査の内容を細かく控えておく
反面調査によって取引先との関係が悪化し、取引ができなくなって自分の会社が損害を被る可能性も考えられます。しかし、要件を満たして正しい流れで反面調査が行われたのであれば、税務署の対応が正しいという判断になります。
ただし、税務調査におけるトラブルはこれまでにいくつもあり、調査官が法に則した形で調査を進めていない例もあるようです。その場合は、受けた損害を国に損賠賠償を要求することも可能ですので、調査で行われた内容について細かく控えておき、法的に問題がなかったかを確認できる状態にしておきましょう。
ポイント4.隠蔽工作に付き合わない
これまで取引先企業の領収書を操作するのに協力したり、税金対策の口裏合わせに協力するなどといったことをしていると、反面調査の際に露見して、自分の会社がブラック扱いになってしまうことも考えられます。お互いがクリーンな状態であれば、その後の取引に影響を及ぼすこともないので、心配することはありません。
取引先との付き合い方はさまざまですが、やはり最初からこうした隠蔽工作に協力せず、クリーンな状態を保つことが、反面調査の際に慌てずに対処できる大きな要素だといえます。
参考記事
経営者必見!税務調査には種類がある。様々な税務調査を徹底解説します。
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