税務調査の事前準備や対策では大きな金額が動く科目に対して意識が集中しがちですが、実は役員に支払われた経済的利益のうち、非課税のものも税務調査で確認されるポイントです。

これは非常に細かな点でそれ故に盲点となりがちですが、節税として非常に有効な項目であり、数も多いため経営者は知っておく必要があるでしょう。この記事ではどんな項目に注意をしていけば良いのか?について考察を交え解説をします。

非課税の経済的利益とは何を指すか?

非課税の経済的利益とは何を指すか?


金銭や資産の譲渡や株式の取得など経済的利益が生じる場合は通常、課税の対象となります。「非課税の経済的利益」とはその名の通り経済的利益が生じながらも課税の対象にならない利益を指します。

会社から受ける金銭以外の物や権利等の利益は、実質的に受けた利益として少額では非課税となります。節税として有効な反面、種類も多岐にわたり税務調査でも細かくチェックされるポイントです。

税務調査でチェックされる非課税の11項目を解説

非課税の11項目を解説

非課税の経済的利益として税務調査の際にチェックされる11項目を解説していきます。

非課税と認められるか否かは金額や割合によって変わってきます。非課税で処理しているものが適正かどうかを改めてチェックしてみてください。

【非課税の11項目】
①出張手当
②通勤手当
③職務上必要な制服その他の身の回り品
④永年勤続者の記念品
⑤残業または宿日直をした者に支する食事
⑥寄宿舎などの水道光熱費
⑦生命保険・損害保険
⑧病気見舞金
⑨貸付金の利息相当分
⑩レクレーション費用
⑪その他食事代

出張手当

非課税の出張手当との上限の目安は「2万5,000円前後」です。

これ以上であると「高すぎるのではないか」と主張してくる可能性が高いと言えます。 というのも、「国家公務員等の旅費に関する法律」で、宿泊料、嘱託料を含めて最高2万6,700円と規程されているからです。

そのため、税務調査官の常識として出張手当は最高2万5,000円前後とされがちなのです。

通勤手当

役員や従業員に支給する通勤手当は通勤手段や距離によって非課税限度額が法令で定められています。

①交通機関又は有料道路を利用している人・・非課税上限額 月額15万円
②マイカー。自転車通勤をしている人・・片道の通勤距離に応じて0~3万1,600円

上記を超えた部分については課税対象となります。 また①と②を組み合わせた場合でも上限は15万円となります。 また対象となる運賃は「合理的な運賃」である必要があります。

そのため役員の個人事情に合わせて迂回し運賃や通勤時間が大幅に伸びる場合は、 認められない可能性があります。

職務上必要な制服その他身の回り品

制服や作業服、それらに付随する身の回り品などは一定の要件を満たせば非課税となります。

①専ら勤務する場所において通常の職務を行う上で着用するもので、私用には着用しない又は着用できないものであること。
②事務服等の支給又は貸与が、その職場に属する者の全員又は一定の仕事に従事する者の全員を対象として行われるものであること
(更に厳格にいえば、それを着用する者がそれにより一見して特定の職員又は特定雇用主の従業員であることが判別できるものであること)。

つまり、会社等の勤務場所でのみ着用し全体又は同部署等で全員が着用し、社名やロゴが入っている必要があるとされています。
背広などは通勤や私生活等でも着用できるため、原則、課税の対象となります。

永年勤続者の記念品

創業記念や永年勤めた役員や従業員へ記念品を授与する場合も非課税とするためには下記の要件を満たす必要があります。

①支給する記念品が社会通念上記念品としてふさわしいものであり、かつ、価額が1万円以下のものであること。ただし、永年勤続者に支給する記念品や旅行等への招待費用は社会通念上一般的な金額であること。
②創業記念のように一定期間ごとに到来する記念に際し支給する記念品については、創業後相当な期間(おおむね5年以上の期間)ごとに支給するものであること。

残業または宿日直をした者に支給する食事

残業又は宿直若しくは日直をした従業員等に対して支給する食事については非課税となります。

ただし「超過勤務(早朝出勤含む)」や「宿日直」など、そのほかの従業員が勤務していない時間の勤務に対する支給となるため、通常の勤務時間内の支給は非課税対象となりません。

寄宿舎などの水道光熱費

原則としては水道光熱費は各入居者が負担すべきものとされています。 そのため会社が負担をした場合には、課税対象となります。

ただし、その額が通常利用した場合の料金程度であること、各人ごとの利用額が計算できないこと、の2つの条件を満たす場合には、非課税とされています。

生命・損害保険

従業員等に掛ける保険料も一定の要件を満たす事で非課税となります。

①損害保険、共済保険など保険料の負担が月300円以下のもの
②死亡保険金の受取人など一定の要件を満たす場合

受取人が従業員の遺族の場合は給与所得となります。
役員や従業員を被保険者とした保険に加入する際は、保険会社に税務上の取扱いを確認しておきましょう。

病気見舞金

役員や従業員が病気やケガで入院した際や災害に見舞われた際に支給する見舞金は、の金額がその受贈者の社会的地位、贈与者との関係等に照らし社会通念上相当と認められるものについては非課税となります。

社会通念上相当額については諸説ありますが、過去の判例では入院一回あたり3~5万円程度が妥当とされています。 支給の意思がある際は事前に弔意規定を作成し、周知しておくと良いでしょう。

貸付金の利息相当分

会社が役員や従業員に対して金銭を無利息又は利息相当額に満たない低い金利で貸し付けた事で役員や従業員が受ける経済的利益は一定の要件を満たす事で非課税となります。

例えば災害、疾病等により臨時的に多額な生活資金を要することとなった役員や従業員に対して、日常生活の回復に充てるために貸し付けた金額で、その返済期間が合理的と認められる場合などが該当します。

レクレーション費用

役員や従業員を対象に開催する会食や旅行、演芸会、運動会などの行事を催す際に会社が行う費用負担も経済的利益に該当しますが、これらの費用はその行事が社会通念上一般的に行われていると認められるものであれば課税の対象となりません。

ただし、行事に参加しなかった役員や従業員に参加に代えて金銭を支給する場合や、役員だけを対象として行事の費用を負担する場合は課税対象となります。

その他食事代

会社の役員や従業員に支給する食事が非課税と認められるためには、下記の2つの要件を満たす必要があります。

①役員や従業人が食事の価額の半分以上を負担していること。
②会社が負担した額(食事の価額-従業等が負担している金額)が1か月当たり3,500円以下であること。

役員の社宅について3つの計算方法

役員の社宅

役員の社宅については、役員から賃料相当額を毎月一定額受け取れば、企業として課税されません。
そのため、計算してきっちり徴収しておくことが大切です。計算方法は3つありますが、固定資産税で計算する場合、豪華な住宅等でなければ相場の20〜50%くらい徴収しておくと安全圏です。

給与関係でいうと、通常の勤務時間外において勤務を常例する職種、たとえば守衛、早朝や深夜に勤務するホテル・旅館、牛乳販売店等の住み込み従業員などの場合、家賃を全額負担しても課税はされません。

万が一のときに勤務時間外にも対応しなければならないサーバー管理者を会社の近隣に住ませる場合の家賃なども認められるケースがあります。