経済産業省が発表した飲食関連産業の動向によると、全国の飲食店は約50万店あまりに存在し、店舗数が多いイメージのコンビニ、美容室・理容室と比較しても圧倒に多くの店舗数が存在しています。
従業員数でも見て、飲食業で勤務する方々は全国で360万人を越え、全就業者の5%が携わっている計算となります。この数年でPayPayなど各種キャッシュレスが普及してきましたが、現金取引が多い業種でもあります。
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飲食店の半数近くで税務調査で問題は見つかる?
国税庁が発表した平成29事務年度 法人税等の調査事績の概要によると、飲食店の2店舗もしくは3店舗のうち1店舗の割合で不正が見つかっているとされています。理由は様々あると思いますが、実態として税務調査の結果、不正が多いとされる業種となっています。
不正認定された所得も1件当たり440~820万円と高額になっており、追徴課税などを含めると100万円単位の支出となることが想定されます。
飲食店の税務調査の流れ
一般的な税務調査は顧問弁護士経由で税務調査の連絡が入るケースが多いですが、事前連絡なしで「事前調査」や「現物確認調査」(現況調査)が行われるケースがあります。
これは調査上必要な場合は事前連絡せずに調査を行う権限を税務署が持っているためです。飲食業は現金商売という性質上、売り上げを申告しないなどの悪質なケースもあり事前連絡せずに調査に入るケースも他の業種と比較すると多いようです。
事前調査
事前調査は店舗に客として調査官が来店し店舗の運営状況を確認するものです。
店舗の外から客の入りなどの確認を行ったり、実際に店舗に客として来店し、座席数、回転数、客の入り具合、伝票の記載有無・レジの入力有無などを確認します。
また、自身が注文した料理や金額を記録し、後日の現実確認調査で店舗が保管する伝票と突合できる準備をしたりします。
現物確認調査(現況調査)
税務署の調査員が午前中に突然来店し、帳簿などの資料の閲覧を求めきます。突然、税務署の調査員がきたらパニックになってしまいそうですが、税理士の立ち合いが困難であったり、営業に支障がある場合には日を改めたい旨を伝えるなどの対応を行うほうがよいでしょう。
仮にこの時点で顧問税理士との契約がない場合には、「営業上の支障」などを理由に現実確認調査の日程調整をその場で依頼し、すぐに税務調査対応のための税理士選びを行うべきでしょう。
どのくらいの期間・何年分(いつから)の調査が行われるか?
税務調査の期間は最大5年分が行われると考えてください。これは国税通則法第70条で、過去5年間の確定申告を更正対象であることを明示しているためです。
なお、税務調査の結果、脱税が認められた場合には調査期間は7年にまで遡ることとなっています。また帳簿、領収書などの各種資料には7年間の保管義務があります。
売上げごまかし・売上げ抜きはバレる?
事前調査で調査官が支払った伝票が保管されていなかった、同業種の他店舗と比較して売上原価率が高い、キャッシュレス決済比率が高い、おしぼり、割り箸の仕入れ数と売上伝票数が合わないなど、売上げをごまかしていることを発見する手段はいくらでもあるため、完全に隠すことは難しいでしょう。
税務調査により是認(確定申告の内容に問題なし)と判断されるのは全体の10-20%程度といわれています。
レジなしの注意点/伝票
帳簿などの各種エビデンスは7年間の保管が義務付けられています。レジを利用していなく、紙伝票で処理をしている場合、その紙伝票自体を7年間保管する必要があるので、膨大な量となります。
税務調査の際に、「2018年7月の伝票を見せてください」といわれたら、売上伝票の金額と一致する紙伝票、1か月分をスムーズに提出しなければなりません。いかに売上げを管理しているかという管理手法自体が調査されると考えましょう。
万が一に想定される追徴課税
税務調査の結果、提出していた確定申告書が否認、もしくは未申告であった場合の追徴課税としては下記の種類があります。それ以外にも、延滞税として年利8.9%(2020年現在)ものプラスされることとなります。
修正申告の期間が長期間に渡ると、本来払うべき税額の200%以上も納付する必要があるというケースもでてくる計算です。
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