相続税の税務調査はかなり高い確率で行われます。相続税の申告数は毎年約50,000件あると言われますが、国税庁の資料によれば平成26事務年度での実地調査件数は12,406件となっており、4件に1件の割合で調査が入っています。相続税に関する税務調査で指摘されやすいポイントと具体的事例について紹介します。

相続税についての注意点

税務調査は相続財産の評価の正当性や申告漏れがないか確認する目的で行われますが、申告漏れが見つかるケースが約80%と非常に高くなっています。

調査で指摘を受けやすいのは被相続人の預貯金、生命保険、名義預金です。被相続人の預貯金では死亡直前の引き出し回数が多いと、本人以外が勝手に引き出していることを疑われ、目的や使途を問われます。生命保険は契約が家族名義になっていても、保険料を負担しているのが実質的には被相続人というケースが調べられます。この場合、被相続人死亡により発生する生命保険金が相続税の課税対象となるからです。

名義預金とは家族名義の預金のことですが、生命保険のケースと同様に単に家族の名義を借りているだけで、預貯金の所有者が実質的に被相続人となっている場合、その預貯金は相続財産と見なされ、相続税の申告をしなければなりません。

国税庁や税務署は被相続人の所得税の申告書を照会するだけでなく、金融機関への調査も行なって相続財産の実態を把握しています。税務調査が入る段階で申告漏れなどの有無がほとんどわかっていると考えてよいでしょう。

相続税に関連する税務調査事例

相続税の税務調査はほとんどの場合、申告から1年~1年半の間に実施されます。以下に税務調査で申告漏れなどが見つかった実例を紹介します。

知らなかった父親名義の有価証券の事例

Aさんは他に家族もいなかったため、亡くなった父親の財産を相続することになりました。父親から聞いていた財産は、基礎控除額の範囲内だったので相続税の申告をしませんでしたが、税務調査が入って知らなかった父親名義の有価証券があることがわかりました。その結果、総額で基礎控除額を上回ることになり相続税の申告が必要になりました。

贈与の基礎控除となる110万円を超えないように積立した事例

被相続人である祖父は孫名義で銀行口座を開設し、毎年贈与の基礎控除となる110万円を超えないように積立をしていました。相続が開始された時点で預金額は数千万円になっていましたが、孫は銀行口座のことを知らず通帳や印鑑も祖父が管理していたため、税務調査で贈与は否認され、相続財産として修正申告を求められました。

相続財産と見なされた株式の事例

Bさんは相続税申告をする際に被相続人の妻が名義となっている株式が5,000万円ほどあることを知りましたが、相続財産として申告していませんでした。税務調査の結果、印鑑は被相続人のもので妻が自由に株式を売買できる状況ではなかったことから相続財産と見なされ、修正申告をすることになりました。

このように申告漏れが見つかるケースが約80%と非常に高くなっている相続税についても専門の知識を持った専門家が必要になります。相続税をはじめとした税務調査の対応でお困りの際は、個人事業主にも強い、業界トップレベルの実績のある「税理士法人クオリティ・ワン」にご相談ください。

税務調査専門の税理士なら、税務調査110番

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