今回の記事では一般的な税務調査における目的や、調査で確認するもの、調査が終了するまでの目安、また、修正申告の金額の決定方法について解説します。
目次
税務調査の目的
一般的に税務調査は、課税所得が正しく申告されているか否か、あるいは申告義務があるか否かを確認するために行います。
申告すべき課税所得は、収入・費用、益金・損金に係る実際に行われた取引金額により計算し、適切な税務処理により計算されます。したがって、帳簿上のそれらの金額が事実として正しいのかどうか、決算時等の処理は税務上適切なのかどうかを確認することとなります。
税務調査で確認するもの
一般的な税務調査では、第三者が作成した、事実関係を証明する領収書や請求書の数字や内容と、帳簿に記載された金額や費目や適用欄等の記載が一致しているか否かの確認を行います。
ただし、書類は偽造されたり破棄されたりして残っていない場合もあります。そこで、実際に事務所や工場や店舗にある材料や仕掛品やメモなどを確認して、取引先や取引内容を確認します。アルバイトが何人もいるようであれば、架空人件費がないか、出勤している者等の履歴書、出勤簿(タイムカードなど)なども確認したりします。
不明な点があったり、不審な点があれば、反面調査として取引先を訪れたり書面で照会したり、関係者に話を聞きに行ったりします。
そのほか、お金の流れもチェックします。
取引銀行はどこか、不明入出金はないか、どうやってお金を用意しているのか、キャッシュフローとしておかしくないのか、申告した利益や役員報酬と生活状況が一致しているのか、なども確認の対象です。
調査終了の目安
調査は、以上のような点について確認をしていくのですが、大体の調査において調査対象年分は過去3年間ですので、限られた調査日数(数日)では、とても全部の収入や経費項目を確認することはできません。
ちなみに一般的な税務調査では、統括官の指示を受けて行うのですが、統括官からは、どこを重点的に調査するかの指示があります。とりあえず、その点を確認し、上記の点を全体的にざっと確認して問題がなければ調査は終了します。
修正申告の金額の決定方法
問題があった点については、事実が明らかになり数字等が確認された範囲で、修正申告をするよう勧奨されることとなります。
この「確認された範囲で」という意味は、通常は、調査官が取引事実を確認した範囲でということですが、場合によっては納税者自身の確認を含みます。
つまり、現金売上でレジがない場合など、今となっては正確な売上金額は誰にも分からないので、調査官と納税者とが協議し、真実に近いと見込まれ、合理的な算定に基づく金額によって、修正金額が決まるということです。経費についても、支払っているのは確実だけれど金額が正確に分からない場合なども、一定の事実を根拠にした合理的な計算に基づけば、場合によっては認めてもらえる場合もあります。
ただし、折り合いがつかなければ、税務署の主張する金額で更正処分又は決定処分がされるということとなります。
このような金額の決定における対応は、調査対応経験の豊富な税理士の専門分野になります。