税務調査が入った場合、追加の納税や加算税なく無傷で乗り切れる納税者はあまり多くありません。

国税庁の報告では平成30年度では12,463件の税務調査が実施され10,684件に申告漏れなどの非違があったとされています。税務調査を受けた納税者のうち約85%が追加で納税を行ったことになります。本来、納めるべき税金だったとはいえ資産が減る事でネガティブに捉える方も多いでしょう。

しかし、プラスに考え税務調査の機会そのものを⾃社の経営管理強化につなげていくとポジティブに捉えてみてはいかがでしょうか?税務調査で得られた情報や経験を体制づくり、仕組みづくりの機会として活かしていく事で経営基盤を強固にして税務調査に左右されない安定した経営体制を築いていきましょう。

税務調査から逆算した社内ルールがコンプライアンスを強化する

社内ルールがコンプライアンスを強化

税務調査での経験を社内ルール作りのきっかけにして、内部統制を図りましょう。
例えば、指摘されがちな「販管費および一般管理費」であれば一定額以上の経費は事前に稟議をあげるよう明確にルール化しましょう。一定額の基準は会社の規模にもよりますが、3万円程度から検討してみてください。また、リスクヘッジの観点から信頼関係のみで長く勤めている従業員に資産管理や権限など経理面での全権をむやみに与えるのは危険です。

経験豊富で責任感があったとしてもミスは起こりますし、人は誰しも楽な方に流れやすい傾向があります。信じた相手が意図しているか否かに関わらず悪いことに手を出さないためのルール作りを行うのも経営者の役割と言えます。勝ち続けている経営者の共通点は「数字に対する関心度」と言えます。

売上だけでなく、経費も含めて自分で把握し経営判断を行う事が勝てる経営に繋がっていきます。そのためにはルール作りや稟議書などの仕組化や取り組みが必要となります。特に中小企業の場合は経費や支払を経営者が把握し最終チェックを行う事が重要となってきます。

大まかな流れとポイントについて解説していきます。

ルール1 経理担当者が資料を突合

金額にミスがないか確認をする事はもちろんですが、請求書がないのに支払依頼書を作って振り込ませる不正が発生しない様に必ず支払依頼書は請求書とセットでチェックしましょう。

ルール2 上長が支払依頼書の内容をチェック

金額にミスがないかを月次の出納帳を改めてチェックしましょう。毎月または毎年など定期的に必ず発生するような経費が漏れていないかも確認しましょう。

ルール3 経営者が最終チェック

先述のとおり一定額以上の経費は事前稟議を実施しますが、支払い前にも改めてチェックしましょう。インターネットバンキングの決済を最終フェイズにあてるのもいいでしょう。
なお、通帳やインターネットバンキングでの決済を経営者でなく経理担当者が行う場合は入力担当者と支払担当者を分けるなどしてリスクを分散しておくといいでしょう。

上司の定期的チェックが⽂化と体制をつくる

上司の定期的チェック

確固な経営基盤をつくるためには経営者が最終確認を行うだけでなく、上長が定期的にチェックする体制を整える事が重要となってきます。定期的に行う事が大切で、万一の時にはすぐに修正できる文化や体制を築くことにつながります。

上長が定期的にチェック・管理した方がいいものとして下記があげられます。

チェック1 現預⾦残⾼の管理と現⾦出納帳を確認する

任せきりにしていると、いつの間にか残高が全く合わなくなる事があります。必ず定期的にチェックしましょう。

チェック2 残⾼証明書を確認する

残高自体は通帳でも可能ですが、偽造する事もできてしまうので、定期的に残高証明書を取り寄せて突合しましょう。確定申告や決算の時期に行うとよいでしょう。

チェック3 固定資産の管理を⾏う

一定額以上の資産にはラベル等を貼り管理しましょう。パソコンなどは台数が増えたり、拠点が複数あると経営者だけでは追いきれません。知らない内に紛失していた、という事にならないように年に1回は固定資産の現物を確認しましょう。

チェック4 決算管理を⾏う

決算のスケジュールを作成しましょう。会計に誤りがあれば当然、税務申告にもミスが出ます。正確に会計を行うためにはいつまでに、どう進めていくのかを事前に決めておく事が重要となります。

チェック5 決算修正仕訳も重要な確認事項

会計の締め、決算時の仕訳のミスが発生する事は多々あります。経理担当者も年に1度しかない仕訳のうえ、金額にも大きく影響してきますから、必ず上長が確認し承認する必要があります。

決算書・申告書は社⻑がすみずみまで⾒よう

社長が隅々まで見よう

決算終了時に経営者がノーチェックで申告書に捺印していませんか?

決算書と申告書はすみずみまでチェックし、分析する事が大切です。多忙な経営者が都度、経営判断に万全な時間を割くことは難しいでしょう。しかし最低限でも決算書と申告書は細かくチェックし、次の計画に活かすことが大切です。

会社の成長に繋げるための第一歩として優先的に確認する時間を確保しましょう。