税務調査は2週間で終わることもあれば、半年に及ぶこともあります。時間が経つと、いつ、何について、どんな発言をしたか?を正確に記憶することはできません。必ず議事録をつけるようにしましょう。
税務調査中にパソコンで議事録をとっていても止められることはありません。できれば、経営者・経理担当者・税理士による事前ミーティングの段階からすべて記録をとるようにすることが望ましいでしょう。
目次
税務調査で理想的な議事録のポイント
税務調査で理想的な議事録はいつ、何について、どんな発言をしたか、が明確に分かる事です。
一般的な議事録の要領と大きな違いはありませんが「いつ」調査の日付、「誰と」〇〇税務署の調査官〇〇から始まり、質問や議題に上がった事と、答えた内容を記録しておきましょう。
先述の通り、世間話のような一見、中身のない会話であっても調査官は意図を持って質問をしているので、議事録を取る際ば些細な事でも応答について記録を残しておきましょう。
また、税務調査は情報量が多くなりがちなので自分が今後行わなければならないこと(Todo)はマークを変えるなどすると振り返りがしやすくなります。
大切なのはどんな会話があったか「事実」を明記する事です。どんな質問をして、どう答えたか、金額や数値を含めて後から見返して判別できるように議事録をとりましょう。
なお、以前は、税務調査中にパソコンで議事録をとっていると嫌がる税務調査官もいましたが、最近は止められることはありません。
こんな時にこそ!効果的な議事録の使い方・活かし方
議事録は言った言ってないの問題を解決する効果的なツールです。また、書き留める事で間が作れるので自分の発言や相手の質問に対して思考を整理して改めて考える機会をくれる事もあります。
自分自身で調査の流れを整理する事にも役立ちますが、税理士に対応を依頼する時も議事録は非常に役立ちます。
知識経験のある税理士であれば議事録でのやり取りから、争点とすべき項目、譲る項目を読み取りスムーズに税務調査が進む様に段取りをすることができます。
争点が多い時に役つ交渉経過一覧表
議事録をまとめたうえで、争点が多い場合には「交渉経過一覧表」を作って、税理士と共有しましょう。
「交渉経過一覧表」は争点ごとに誰と、どのような主張や争点があり、どのような結果、税額に着地したのかを一覧にしたものです。
税務調査官も争点整理表を作成することがあります。争点整理表には2つの作成基準があり、基準を満たした場合に作成されます。
<実質基準>
調査に非協力的など、立証がむずかしい事柄を記録に残す。
<形式基準>
重加算税が課されたり、青色申告の承認が取り消されたりなど
さらに、実質基準、形式基準のどちらにも該当しないケースでも、調査着手後3ヶ月が経過すると争点整理表を作成しなければいけません。
重要なポイントとして税務調査官には、できれば争点整理表を作成したくないという気持ちがあります。
そのため、税務調査官にとっては調査を3ヶ月以内に終わらせたい心理があることも知っておきましょう。
交渉経過一覧表作成・運用のポイント
交渉経過一覧表は争点を洗い出し、双方が納得・理解できる調査終了を目的として作成します。
そのため時系列順に「現在の状況はどうなっているのか」「そこにいたった経緯(法的根拠、証拠・事実、結論)はどのようだったのか」「今後どのようになりそうなのか(税額)」を記録する必要があります。
対象税目、対象年度ごとに作成するとより整理しやすくなります。