10年以上も税務調査立会いをしているといろんな税務調査官の方がいることに気づきます。
前提として、多くの税務調査官は普通の対応をしてくれる人です。しかし、なかには高圧的な態度や、怒りっぽい人、態度が少しおかしいなと感じたりする人もいます。とはいえ、これは税務調査に限った話ではなく、どこの組織でも同じと考えてよいでしょう。
税務調査110番の見解では、全体の20%くらいが個性的なキャラクターという感覚です。
税務調査当日に苦手なタイプの税務調査官がやってくると対応しづらくなるのは事実ですが、次のような3点を心がけることで戦々恐々とした雰囲気を突破することができるでしょう。
目次
税務調査官の立場を尊重しよう
高圧的な税務調査官は確かにいます。ただでさえ不安な税務調査で調査官がその様な人柄の場合、尊敬、信頼することなどできないと感じるかもしれません。 しかし、日本の税制度の柱は、申告制度と税務調査が2本柱です。税金が正しく徴収されることで、国が維持されています。 税務調査官が高圧的だ!と感じた場合は「内的コントロール」に徹しましょう。
内的コントロールとは、傾聴する、支援する、励ます、尊敬する、信頼する、相手を受容する、交渉することです。 相手の態度や性格は変えられません。税務調査がスムーズに進むように自分自身がコントロールできるものは何かにフォーカスしてみましょう。
税務調査官の仕事は尊い仕事であることは間違いありません。相手のキャラクターに焦点を合わせるのではなく、相手の税務調査官の仕事について尊敬の心を持って対応しましょう。
家族や従業員との関係をイメージすれば、相手の荒い言葉に反応してカッとするよりも、気持ちや立場を理解して話を聞き、共感し、前向きな方向へ向かわせたほうがよいことはすぐに理解できると思います。
当日の対応テクニック紹介
<ポイント:傾聴>
税務調査官が話しをしているときは不満に思うような言い方があっても、耳を傾けましょう。
傾聴とは呼んで字のごとく14の心で耳を傾けることです。相手の言葉の最中に口を挟まず、言っていること勿論ですが、調査官が言いたいことまで分かるレベルになるとその後の調査官との信頼関係の構築に役立ちます。基本的なことですが、適度に相槌を打つことで相手は聴いてもらっていることを好意的に捉え関係性の構築につながります。
<ポイント:尊敬>
税務調査官は先述の通り国を維持するために欠かせない税金を正しく徴収する使命を持っています。
反面、多くの納税者がそのことに好感を持っていないことも理解しています。その分、税務調査官の使命に理解を示し可能な範囲で共感することで、税務調査官も相手への接し方が変わってくる場合があります。
<ポイント:受容>
別称でお伝えした通り、税務調査で区分されるものは白(適法)・黒(違法)・グレー(解釈による)の3種類に分類されます。全てを受容する必要はありませんが、黒に関しては素直に認め受け止めることが大切です。
税務調査官も明らかに税制に則ていない事にまで反撃をされると「この納税者は脱税をしようとしている」とより攻撃姿勢が強くなる場合があります。
税務調査官の圧力を無視して問いかけよう
「こんな処理、合っていると思うのか?」 などと、税務調査官から大きな声で言われたりすると、ついつい「お前は間違っている」と責められている、ケンカを売られているように感じるかもしれません。 しかし、その言葉づかいや声のトーンの影響は考えないようにしてください。
問われているのは、「会計処理が合っているか否か」というシンプルなものです。「この経理処理が合っているかどうか、聞きたいですか」と、問い直していきましょう。 大切なのは感情VS感情で相手のペースや言葉づかいに飲まれずに、質問の本質は何なのか?を冷静に捉えて対応することです。
税務署長・総務課長・納税支援調査官に相談しよう
どうしても我慢ができない、この税務調査官ではストレスが大きすぎる、という場合には、最終的に税務署長・総務課長・納税者支援調整官などに相談すること可能です。 高圧的な税務調査官がインターフォンを押さずに入ってきた場合などにも、税務署長あてに文書を書くと、担当の調査官を代えてもらえたりすることがあります。
高圧的な態度や行動があった事実がなければ、かえって心象を悪くする場合もあります。調査の実施や書類の提出は税務調査官に認められた権利です。上位管理者に相談する場合は、どのような逸脱行為があったかを整理した上で相談する様にしましょう。
税務署長とは
所轄の税務署を統括する最高責任者が税務署長です。 国税庁採用のキャリア組であれば30~40代で着任する場合もありますが、多くの税務調査官を含む税務署職員としては最高キャリアに位置し概ね60代前後に就任するケースが一般的です。
総務課長とは
総務課は、税務署内における事務の総括を行っています。具体的には、他の複数の部署に関連する事務についての調整、申告書や各種届出書等の受付、情報公開や個人情報の開示等の請求の受付、税理士制度の運営等を行っています。
納税者支援調整官とは
納税者支援調整官は税務署等の処分に対する不服申し立てや、税務調査官の応対、調査の仕方などについての納税者からの不満や相談を受け付ける専門職員です。
2021年5月現在では下記の国税局及び税務署に設置されています。
札幌国税局、仙台国税局、関東信越国税局、東京国税局、金沢国税局、名古屋国税局、大阪国税局、広島国税局、高松国税局、福岡国税局、熊本国税局、沖縄国税事務所
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