現地での税務調査は2日間ですが、それだけで税務調査全体は終了しません。
現地調査後も資料を持ち帰ってチェック・検討をしたり、場合によっては追加で資料の提出を求められることがあります。
税務調査の現地調査では、質問されたことに答える程度で済みますが、調査後には、契約書や支払いなどの内容について何回か詳細に確認のやりとりが行われるため、意外と手間がかかります。しかし、こうしたやりとりで最終的に追加納税額が決まることになるため、求められた資料は速やかに提出して、質問にも丁寧に応じることが大切です。
書類のチェックや必要に応じて反面調査なども行われ、税務調査がすべて終了するまでに数週間から1ヶ月程度かかることになります。
これらをすべて自分で行うのは大変な作業になるので、顧問税理士がいる場合は、多少費用が発生したとしてもお願いした方が安心でしょう。
この記事では、税務調査後の対応や追加納税をするまでのやりとりについて解説しています。
目次
指摘内容に納得する場合は修正申告書を提出
税務調査が終了すると、税務署側がその結果をまとめて通知します。
指摘事項がなく「是認」という結果であれば修正申告をする必要も追加納税もする必要もありません。
申告に誤りがあると認識され指摘事項がある場合は、「否認」という結果となり修正申告をすすめられます。指摘事項に納得する場合は修正申告書を提出して追加納税をすることになります。延滞税や過少申告加算税、悪質な場合は重加算税も課せられることになるため、修正後の追加納税額はかなり高くなると考えてよいでしょう。
指摘事項に納得しない場合は修正申告書を提出せずに、税務署から更正決定の処分を受けるという対応になります。処分に不服がある場合は2ヶ月以内に異議申立てを行います。一般的には指摘内容に従って修正申告に応じるケースが多いようですが、修正申告後は異議申立てができなくなります。
どうしても納得がいかない場合は、まず税理士と相談して最終判断することをおすすめします。
税務調査を受け、追加納税の義務が生じた場合の支払いについて
税務署によって税務調査が行われた際、何らかの指摘を受けてしまった際には、修正申告書の提出を求められます。その後納付書の発行を受けたら、その内容に従って追加分の納税を行います。
また、そもそも税務調査が入ったということは何らかの問題があったと判断されるため、修正申告と追加納税で済めば良いのですが、後日罰金のような形で加算税と延滞金の請求が届く可能性もあります(※申告具合による)。
この場合、請求金額を全て支払わなければ、追加納税は終了しません。
追加納税の流れ
税務調査後に、追加で発生した納税をする場合は以下のようになります。
色々な手順が必要になる場合があるので、納税が済むまでの作業を税理士に依頼することも可能です。むしろそのほうがスムーズにいく場合も多いでしょう。その大きな理由としては、申告内容を修正する必要がある場合、税務署の指摘に全て従う必要はありませんが、専門知識を持っていないとその説明が難しいからです。
それでは、追加納税の流れを各ステップに沿って解説していきます。
step1.指摘事項の確認と協議
税務署から受けた指摘事項に対して連絡と協議を行います。調査が終了した後、指摘事項に関する連絡が税務署から入ることになるでしょう。それをよく確認した後で、税務署の署員と修正に関して協議を開きます。この時、全ての指摘を受けた内容に従っていく必要はありません。納得いかないと感じた部分は話し合いをしていく姿勢が重要です。
step2.修正申告書の作成
署員との協議を終え、申告者も納得したら、指摘に従って修正申告書を作成。
作成後、税務署の担当官と面談の約束をして、税務署へ。そこで修正した内容を確認して、担当官が問題ないと判断すれば、修正申告書を提出します。
step3.納付書の受け取り
修正申告書を提出したら、管轄課という部署で税金を納める納付書を受け取ります。修正が必要なのが所得税のみなら、これで終了。しかし、住民税、法人住民税に関しても修正申告を求められている際は、各担当市役所に行かねばなりません。そこで別々に発行された納付書を受け取りましょう。
step4.銀行・郵便局で支払い
もらった納付書を持って銀行又は郵便局など最寄りの支払いができる機関に赴き、そこで必要な金額を支払うことで追加納税の流れは終了です。
加算税の請求を受けたら
調査によって既に行っていた申告に何らかの問題が見つかった際は、すぐに修正を行い追加で定められた金額を納めなければいけません。しかし、それだけではなくさらなる納税を課せられる可能性もあります。それが加算税です。これはその時に指摘を受けた事項が悪質だと見なされた時に、それぞれに従って税率や利率が変わっていきます。
以下に追加で支払う税金の種類を記載しました。
追加で払う税金には色々な種類があるので注意が必要です。①から⑥まで説明していますが、それぞれ指摘事項の悪質さによって税率・利率が異なり、下にいくにつれ徐々に税率・利率も重くなっていきます。
①本税
正しい申告をしていればこれだけで済んでいた税金です。これ自体は普通の税率と変わりません。
②過少申告課税
法廷申告期限中に申告を行ったものの、内容に誤りがあった場合に修正申告と同時に支払わなければいけない税金になります。これは増加した税額に対して10%の税率がかかるため、例えば100万円を追加で支払ったような場合はプラスして10万円追加で納税する必要があるのです。
③無申告加算税
申告するべき期限内に申告を怠った際や、処分決定後に修正の申告をした際生じる税金。増加額は税額の15%です。
④不納付加算税
源泉徴収した所得税などを期限で定められた間に納付を行わなかった際、課せられる税金のこと。これは未納付額の10%となっています。
⑤重加算税
②から④のケースに該当して、隠蔽しようとしたり偽装したりするような行為がある場合、悪質性が高いと見なされて重加算税が適用されます。これは非常に重く、過少申告加算税が35%、無申告加算税が40%、不納付加算税が35%といずれもかかる税金は高額です。
⑥延滞税
定められた法廷期限の中で納税を怠ったときに生じる税金のこと。期限が過ぎた次の日から計算して2か月は年7.3%、その後は年14.6%にアップします。過去にまで遡り課税を受けたときは3年分の追加納税に対して、法廷期限を過ぎて2か月後からは年利14.6%が適応されてしまうのです。
こちらの記事で加算税の種類や修正申告のポイントについて解説しているのであわせてチェックしてみましょう。
税務調査で出てくる追徴課税や加算税とは何か?加算税の種類を徹底解説!
加算税を最小にする修正申告とは?重加算税を避けるためのポイント
いつでも支払いができるようお金を準備しておくことが大切
税務調査後、追加で税金の支払いが必要になる場合があります。
契約書や請求書に必要な収入印紙が貼られていなかった場合、過怠税が徴収されることになります。印紙税を納めていない場合、当初に納付すべき印紙税の額の3倍に相当する過怠税が徴収されることになるので注意が必要です。
また税務上、売り上げの計上時期は基本的に「商品を引き渡したとき」や「サービスを提供したとき」の場合。これを「入金があったとき」や「請求書を出したとき」に計上していた場合、「売り上げ計上漏れ」として追徴税額をとられます。
ほかにも個人的な支出が交際費に含まれていた場合は、役員の賞与扱いになります。結果、課税されることになるのです。
「架空人件費」が発覚した場合、悪質な租税回避とみなされることがあります。すると追加納付額の35%の重加算税が課されるのです。余計な疑いを受けないためにも、履歴書や給与台帳、扶養控除等申告書やタイムカードをしっかりと保存しておくようにしましょう。
追加で税金の支払いが発生することが多いので、いつでも支払いができるようお金を準備しておくことが大切です。
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