前回の記事「税務調査で出てくる追徴課税や加算税とは何か?加算税の種類を徹底解説!」で、延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税のそれぞれの意味と定義について解説をしました。こうやって加算税の種類を見てみるとわかる通り、税務調査に大きく関係するのは過少申告加算税と重加算税です。中でも、大きな負担になるかどうかは重加算税が課されるかどうかです。

この記事では重加算税を避けるためのポイント「修正申告」について解説していきます。

修正申告とは何か?

修正申告とは何か?

申告期限が過ぎた後に、申告した内容に誤りがあった、税務調査で調査官に指摘をされたなど税額を少なく申告していたために申告内容を訂正して申告する手続きの事を「修正申告」といいます。

自ら誤りに気が付き自主申告を行った場合は延滞税が発生しますが加算(ペナルティ)税は課されません。反対に税務調査で調査官から指摘を受けてから修正申告を行う場合や税務署から正しい税額に訂正する更正処分が下された場合は過少申告加算税または重加算税が課されます。

なお、税務調査の通知後に自主申告した場合に加算税が課されないのは平成28年12月期期限の申告までになります。それ以降に申告期限を迎えてものについては原則5%、一定額を超えた場合には10%加算される改正がされていますので、注意が必要です。

自主申告の定義とそのタイミングについて

臨場調査前に自己申告する

先述の通り、修正申告を行う際は、更正処分か自主申告かによってペナルティの度合いが変わってきます。
自主申告は名前の通り、自分から修正を申告することですが、実務上では申告のタイミングにより変わります。
上記の図の通り税務調査は「内部調査→事前通知→臨場調査→反面調査・銀行調査→端緒把握→非違事項指摘→修正申告書の勧奨等」と進んでいきますが、このうち実務上では「臨場調査」の前までに修正申告したものが自主申告とされています。

平成28年12月期限の申告までの留意点

平成28年12月期限の申告分までは、修正申告すると過少申告加算税は課されません。
ここでポイントとなるのは、過少申告加算税が課されないと、最も重い重加算税も課されないことです。
重加算税は、過少申告加算税に対して賦課されるものだからです。

平成29年1月以降期限の申告からの留意点

平成29年1月以降の国税については、扱いが変わりました。調査通知以後、修正申告する場合は、原則5%、一定額を超えた場合には10%加算されることになりました。
例外として%課されることもあります。加算申告加算税を支払わなければならないということは、重加算税が課される可能性があるという
ことですから、頭に入れて対策をする必要があります。

重加算税が45%に上がってしまうケースも

もう1点、大きな改正があります。期限後申告等があった日以前5年以内に同じ税目に無申告加算税または重加算税を支払っていた場合、もう一度重加算税が課されるときの率が上がったことです。

たとえば重加算税は通常35%ですが、期限後申告等があって、5年以内に同じ税目で重加算税を支払ったことがあれば、45%に上がってしまいます。延滞税も含めると50%近くになってしまうので、何も対策しないとかなり大きな痛手となるのは間違いありません。

自主申告でどれくらい納税額が下がるのか?

「クロ」の場合は自主申告が原則

あってはならないことですが、もし税務調査で黒と判断された場合には、調査期間が7年分になってしまいます。もちろん、原則10%、または15%かかる過少申告加算税もかかりますし、過少申告加算税に代えて重加算税が課せられる可能性もあります。
通常、過少申告加算税であれば、たとえば5年前の申告に関して延滞税も4%ですが、重加算税がかかると延滞時の除斥期間がなくなります。7年前の分の延滞税は、単純に7年分の延滞税が、6年前の分に関しては6年分の延滞税が課せられるわけです。
ところが、自主申告した場合、対象期間が5年になり、過少申告加算税も重加算税もなくなります。延滞税も1年分です。

修正申告する場合としない場合のシミュレーションを公開

修正申告する場合としない場合の趣味レーション
修正申告しなかった場合

先の例を同じ否認額で試算したのが上記の表です。見てみるとわかりますが、自己申告せずに7年間、重加算税などが課せられた場合、総額で約1億5800万円にものぼります。ところが、自己申告すると5年分と延滞税のみになり、約8600万円です。差額はなんと7200万円。2分の1に近いくらい抑えることができます。

自主申告が約2分の1になる、逆にいうと自己申告しなかったら約2倍になるというのは、たいていの場合において当てはまります。
税務申告前にシミュレーションすると、修正申告しない場合にだいたい2倍弱になるはずです。
会社として存続の危機とも言うべき金額です。

指摘されるような事柄があるなら、必ず自主的に修正申告をするようにしましょう。