法人税や所得税の税務調査の際には源泉所得税についての調査も同時に行われます。この記事では、源泉所得税に関して税務調査で指摘されやすいポイントと具体的事例について紹介します。

源泉所得税徴収についての注意点

所得税は本来、自分自身で申告して納めるべきですが、会社が所得を受け取る人の代わりに給料や個人に対する報酬から差し引いて納税しています。これを源泉徴収制度と言い、納税手続きを簡単にし、個人からの徴収漏れを防ぐ目的で行われますが、会社の義務と定められているため履行しないと罰せられることになります。

会社側ではこの制度については十分理解しているはずなのですが、非課税と考えていた項目が処理の仕方で課税対象となったり、源泉徴収すべきものがされてないことがあるので、税務調査ではそこを指摘するわけです。指摘を受けやすい項目としては食事代支給、社員に与える表彰金、社員旅行費、個人に支払うデザイン料や原稿料などがあります。

税務調査により源泉所得税に誤りが見つかった場合は、税務署から更正処分を受けることになり、それに基づき源泉所得税、延滞税などを納付しなければなりません。

源泉所得税徴収に関連する税務調査事例

源泉所得税の誤りは、計算ミスよりも会社の認識不足により正しく処理をしていないというケースが多くなっています。以下に代表的な事例を紹介します。

残業した際に支給する食事代の事例

従業員が残業した際に支給する食事は課税されないため、C社では食事代として現金を支給し福利厚生費として処理をしていました。ところが税務調査の際に現金での支給は給与の一部として見なされ源泉所得税を納付することになりました。

自家用車通勤者に対する通勤手当の事例

O社では遠方からの自家用車通勤者に対し、通勤手当とは別に高速券を渡していました。税務調査では現物の高速券も通勤手当の一部であると指摘され、通勤手当非課税限度額を超えた差額分が源泉所得税の課税対象とされ納付を求められました。

永年勤続者表彰の記念品購入の事例

M社では永年勤続者表彰の記念品を、一定の金額の範囲内で選んでもらい、それを会社が購入して支給していました。多額なものではないので非課税扱いとして処理していたのですが、税務調査では品物が自由に選択できる場合は、支給された金銭で品物を購入したものと見なされ、非課税は認めてもらえませんでした。

留学生アルバイトのアルバイト料の事例

日本語学校に通っている中国人留学生を、S社はアルバイトとして雇い、月額5万円程度のアルバイト料を源泉徴収せずに支払っていました。税務調査の際に、日本語学校は専門学校に該当するので、日中租税協定での所得免税は適用されないとし、源泉徴収漏れを指摘されました。

このように認識不足により正しく処理をしていないというケースが多くなりがちな源泉所得税も税務調査の対象となるため、専門知識を持った専門家が必要になります。所得税をはじめとした税務調査の対応でお困りの際は、個人事業主にも強い、業界トップレベルの実績のある「税理士法人クオリティ・ワン」にご相談ください。

税務調査専門の税理士なら、税務調査110番

税務調査専門の税理士なら、税務調査110番