目次
はじめに
もし、あなたの元に突然、税務署から「475万円を支払ってください」という書類が届いたらどうしますか。
多くの人はパニックに陥り、「早く終わらせたい」「税務署が言うのだから正しいのだろう」と考えてしまうかもしれません。
しかし、その心理こそが税務署側にとって最も都合の良い状態を生み出してしまう原因になります。
今回は、他の税理士事務所で実際に起きた「税務署の計算ミスによる不当課税未遂」の衝撃的な事例を紹介します。
税務署から書類が届いたときに絶対にやってはいけないことと、身を守るための正しい知識を解説していきましょう。
今回はこちらの動画を記事にして読みやすくしております。
現在すでに税務署から連絡があり、「どう対応すればいいかわからない」「申告漏れを指摘されそうで不安だ」
という方は、一人で抱え込まず、すぐにご相談ください。

1. 札幌国税局と税理士法人が全面対決する「475万円請求」の裏側

まずは、今回どのような事態が起きたのか、その概要を説明します。
通常、先物取引などの申告漏れが疑われる場合、税務署は証券会社などの金融機関から情報提供を受け、本人や顧問税理士に連絡をして事実確認を行います。
お互いにやり取りをした上で誤りが確認されれば、修正申告を行うのが一般的な流れです。
しかし今回のケースでは、事前のまともな事実確認がありませんでした。証券会社から得たデータをそのまま使ったのか、あるいはデータ自体にミスがあったのか、税務署側は確認を怠ったまま納税者に修正申告書のドラフト(案)を送りつけてきたのです。
その内容は「先物取引で約3,000万円の利益が漏れているため、約475万円の税金を納めてください」という極めて重いものでした。
これに対して、納税者側の実際の計算は驚くべきもので、なんと約50万円のマイナス、つまり損失だったのです。
税務署が主張する3,000万円の利益などどこにも存在せず、完全に税務署側の計算間違いでした。
現在、この件を巡って、札幌にあるとある税理士法人が、札幌国税局と真っ向から戦っています。
この法人は過去に不当な税務調査に対して刑事告訴を行った実績もあり、業界でも非常に注目されている存在です。
2. なぜここまで大炎上したのか?国税側のあまりに不誠実な対応
今回、この事案がYouTubeなどで大きく炎上した最大の理由は、誤った書類を送った後の国税側の対応にあります。
この税理士法人が国税の担当者に事実関係を問い合わせたところ、担当者は「これはあくまで参考資料であり、自主的な修正を促す行政指導として動いているだけなので、誤り(ミス)ではない」と弁明したと言います。
しかし、具体的な「475万円」という修正申告の案を出しておきながら、「参考資料だからミスではない」という言い訳は、納税者からすれば到底受け入れられるものではありません。
税務署側としては、正式な税務調査ではない、あくまで行政指導という位置づけにすることで責任を回避しようとしたのでしょう。
人間である以上、間違いは誰にでもありますし、年間55万件も送られている書類であればミスが混ざることもあるかもしれません。
しかし、個人情報を扱う公的な機関ですから、ミスが発覚した時点でお尋ねの体をなしていないことをお詫びし、誠実に対応すべきだったのではないでしょうか。この不誠実な姿勢こそが、大きな批判を集める結果となったのです。
3. 「早く終わらせたい」が最大の落とし穴!修正申告は拒否できるという事実

もし、税金の知識がない方や頼れる税理士がいない方の元に、このような「もっともらしい数字が並んだ書類」が届いたら、自分の勘違いかもしれないと思い、サインをして提出してしまうリスクがあります。
ここで絶対に知っておいてほしい最重要のポイントは、修正申告は義務ではなく、あくまで任意のนี่手続きであるということです。
税務署から修正申告を勧められたとしても、それにサインをして提出する義務はありません。税務調査で誤りを指摘された場合でも、納得がいかなければ拒否することができます。
修正申告を拒否した場合、税務署側は「更正(こうせい)」という手続きによって税額を決定します。
その決定に不服がある場合は、国税不服審判所へ再調査の請求や審査請求を行う法的なルートが用意されているのです。
一番やってはいけないのは、恐怖心や「早く終わらせたい」という心理から、内容を精査せずに反射的にサインをしてしまうことです。
一度サインをして提出してしまうと、たとえ中身が間違っていたとしても「その内容が正しいと認めた」ことになり、税金が確定してしまいます。
4. 一度サインをして提出してしまうと後からの取り消しは「絶望的」

万が一、間違った修正申告書を提出してしまった場合、後から取り消すことはできるのでしょうか。
法律上は「更正の請求」という手続きがあり、税金を払いすぎた場合に減額を求めることができます。
しかし、これが認められるハードルは極めて高いのが現実です。
税務署が内容を審査して認めない場合、不服申し立て(再調査の請求)を行うことになりますが、納税者が勝てる割合(容認率)は5%未満であることがほとんどで、10%を超えることは滅多にありません。
さらにその上の段階である「国税不服審判所」への審査請求でも、勝率は例年10%前後(令和4年度は7.1%、令和6年度は17.9%)となっています。
これでもダメなら裁判(行政訴訟)で戦うしかありませんが、多くの納税者はこの長いプロセスの途中で精神的にも金銭的にも力尽きてしまいます。
だからこそ、国税側の提示する数字を鵜呑みにせず、「出す前に止める」ことが何よりも重要なのです。
おわりに

税務署が言うことや、送ってくる書類がすべて正しいとは限りません。
今回のように、完全に間違った内容で高額な請求をしてくるケースも実際に存在します。
税務署から書類が届いても反射的にサインをしないこと、修正申告はあくまで任意であり納得がいかなければ拒否できること、そして一度提出してしまうと後から覆すことは極めて困難であることを胸に刻んでおいてください。
当然、税務署も間違えるという前提で、送られてきたお尋ねなどの書類を冷静にチェックすることが大切です。
もし、税務署から書類が届いて不安な場合は、決して一人で抱え込まず、お近くの税理士や「税務調査100番」などの専門窓口に相談してください。
今回の事案については、また続報が入り次第、フォローアップしていきたいと思います。
現在すでに税務署から連絡があり、「どう対応すればいいかわからない」「申告漏れを指摘されそうで不安だ」
という方は、一人で抱え込まず、すぐにご相談ください。


