今回の記事では、税務調査を終了する時期や調査結果の説明、終了する際に行う手続きについて詳しく解説します。

税務調査終了手続の規定

税務調査終了手続の規定

課税庁は、税務調査を終了する際には、調査結果等について説明を行わねばならず、それについては次のように通則法74条の11第1項~3項において定められています。

①更正決定等をすべきと認められない場合にはその旨の通知
②更正決定等をすべきと認める場合には調査結果の内容説明(以下「調査結果説明」といいます。)
③②の場合には修正申告又は期限後申告(以下「修正申告等」といいます。)の勧奨と、不服申立て及び更正の請求制度についての説明とその説明書面の交付

税務調査終了手続の時期

調査終了手続の時期

調査担当者の判断の時期

税務調査の終了時期は、調査対象者の事業規模・形態や経理状況に応じて様々ですが、調査初日に申告内容を裏付ける資料が揃っていて、確認をしたい事項についての確認が簡単に行えて不審な点もないような状況であれば、調査担当者は、大きな非違はないだろうと判断し、これ以上の調査は止めて、次の調査先に移ろうと考えます。

1件当たりの調査に掛ける日数は限られているので、もっと日数を投下して調査を続けるのかどうかについては、ベテラン調査官になればなるほど判断は早く、場合によっては初日に判断をしています。あとは報告書を作って、部内の決裁を完了すれば調査は終了です。

ですから、調査初日に、資料に基づいて調査官の疑問にしっかり答えることが重要です。

調査終了時期についての課税庁内部の取扱い

税務調査の終了時期については、調査担当者等の職員へ向けた課税庁内部の説明文書である令和4年6月国税庁課税総括課「税務調査手続に関するFAQ(職員用)【共通】」(TAINS:税務調査手続等FAQR040600共通)問4-21では、調査結果説明はいつ行うのかという問いに対し、「納税者の主張等も踏まえた非違内容を取りまとめ、その内容について部内決済を了し、全ての質問検査権を終えた状態の段階で行う」旨回答しています。

調査結果説明後の調査

調査結果の説明時には、上記のとおり全ての質問検査権を終えているのですが、調査結果説明を行った後、更正処分等を行うまでの間において、当該説明の前提となった事実が異なることが明らかとなり当該説明の根拠が失われた場合など、当該説明を修正する必要があると認めた場合には、必要に応じて調査を再開し、その結果に基づき、再度調査結果説明を行うことができる(平成24年9月12日付課総5-9ほか9課共同「国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達の制定について」(法令解釈通達)6-4)としています。

したがって、納税者から、調査結果の根拠を揺るがすような新たな証拠の提出などがあった場合は、見直しがされます。

ただし、その期限は更正処分が行われるまでで、その後は再調査請求や審査請求の手続きにおいて、その事実を提示し、更正又は決定処分額の変更を求めることとなります。調査中に調査担当者の認識の誤りを正すことができるよう、調査担当者が何を根拠に申告額が違うと考えているのかについての確認が大切です。