税務調査対策の事前準備を入念に行ったにもかかわらず、当日になると不安や緊張で頭が真っ白になってしまい税務調査官からの鋭い質問に対して「してはいけない言動」をとってしまったという最悪の事態は避けたいところです。誤った発言や行動は、望まない結果を導くことにもなりかねません。また、調査を行う税務調査官も感情を持った人であることを忘れてはいけません。

今回は他の投稿記事とは異なり、「税務調査でやるべきこと」を解説した記事ではなく、税務調査で「やってはいけないこと」「言ってはいけないこと」をテーマとした記事にしています。ぜひ、この2大注意事項を遵守し、当日の税務調査にのぞみましょう。

税務調査でやってはいけない3つのポイントとその理由

やってはいけない

税務調査の際についつい、やってしまいがちなミスは3つあります。

■税務調査でやってはいけない3つのミス
①余計な回答が多くなってしまう
②不明確なことを言ってしまう
③敵対的な態度をとってしまう

それぞれ、なぜNGなのか。どのように対応する事がベストなのか解説していきます。

余計な回答が多い

税務調査は申告内容が事実に基いてきちんと経理処理されているか、税務の基本から外れていないかを明らかにするために行われます。

したがって経理処理が正当なものであることを証明する請求書や契約書などの資料を用意して、質問に対して説明できれば何の問題もありません。

税務調査対応の基本は余計なことは話さないことです。

質問されたことに対して素直に答えるだけでよいのですが、自信がなかったり何かを誤魔化そうとすると人はつい喋りすぎてしまいます。
相手は税務調査のプロですからそのような態度を見逃しません。
不正をしていなくても、不正を疑われて調査が長引くことになりますので注意が必要です。

その場を取り繕って曖昧な回答するのは絶対にやってはいけません。
わからない点は正直にわからないと認め、事実関係を調べてから後で答える旨を伝えることです。

いろいろと話をしすぎて、余計な回答から痛くもない腹を探られることがあります。
たとえば、税務調査官から昔の話について聞かれ、税務調査にまったく関係のない自分の苦労話をしてしまう納税者がいます。雑談で相手に共感を得てもらうことは大切なことではありますが、税務調査が長引くことがあります。また、取引先について聞かれて、取引先のグチや仕事内容についての不満を延々と語る人もいます。従業員のグチについても同様です。

これらは税務調査とはまったく関係がなく、信頼関係を築くどころか、人間性を疑われる可能性すらあります。納税者にとって税務調査の目的は、「納税額をできるだけ少なくする」ことです。また、「できるだけ税務調査を早く終わらせる」ことも大切です。この目的から逆算して、質問には、端的に結論を話すようにしましょう。常に「この会話は目的達成のために効果的か?」を自問自答しながら話をする必要があります。

不明確なことを言う

税務調査では聞かれたことに答えていきますが、質問に対する答えはイエス・ノーだけではありません。
また、即答できるものばかりでもないはずです。税務調査官の質問に対して「たぶん〇〇です」「〇〇くらいだと思います」と回答が明確でないまま回答してしまうと、どうでしょうか?

税務調査官は行政記録としてメモをとっています。あやふやなままで、イエスまたはノーと言って、それが間違いだったりすると、話の信憑性、経営者自身の信頼が失われてしまいます。
明確でないことは「わかりません。後日調べてお答えします」にしましょう。

敵対的な態度をとる

納税者と税務調査官は、一部で利益相反する立場です。ただし、交渉の基本は価値の最大化です。互いの価値を最大化するために、不遜な態度でいても効果はありません。自分を客観的に見て、敵対的な態度になっていないかどうかチェックしていきましょう。

税務調査で言ってはいけない3つのポイントとその理由

言ってはいけない

税務調査の際に取ってはいけない対応の他に些細な発言が心象を悪くし税務調査を不利にする場合があります。
今回は代表的な例を3つご紹介します。

■税務調査で言ってはいけない3つのワード
①「前回の調査では問題なかった」
②「他の会社もやっている」
③「税理士がいいと言った」

なぜ言ってはいけないか。その理由を解説していきます。

前回の調査では問題なかった

前回の税務調査では是認されたという主張は、よく納税者がする発言です。ただし、「是認された」は、「否認されなかった」とまったく同じ意味ではありません。前回は特に指摘されなくても、今回も同じように大丈夫だとは言い切れません。

最悪の場合、「前回の税務調査ではそこは確認していなかったので、さかのぼって調査しましょう」と言われてしまう可能性もあります。

他の会社もやっている

他の会社も同じことをやっている、というセリフは、まったくもってナンセンスです。他の会社がやっているから、自分の会社もやっていいとはなりません。税務調査官が「その会社の名前を教えてください」と言われて終わりでしょう。
税務の判断基準は、あくまで法律です。他の会社ではありません。

税理士がいいと言った

このセリフを言ってしまうと、税理士が経営者の敵になってしまいます。
たとえ本当に税理士が言ったことであっても、その税理士を選んだのは経営者です。すべての経営判断は、経営者が責任を取らなければいけません。

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