はじめに

確定申告シーズンが終わり、ほっと一息ついている方も多いのではないでしょうか。しかし、税理士をつけずにご自身で申告された方の中には、「本当にこれで合っていたのだろうか」「後から何か言われるのではないか」とヒヤヒヤしながら過ごしている方も少なくありません。

実は2026年、税務署の体制やシステムが大きな転換期を迎えており、夏以降の税務調査はこれまでと比べて劇的に激変します。

今はまさに「嵐の前の静けさ」と言える状況です。年間130件以上の税務調査に対応する税務調査100番代表税理士の渡辺正が、夏から始まる税務調査の裏側と、今狙われやすい人の特徴について詳しく解説します。

こちらの動画を読みやすく記事にしております。

現在すでに税務署から連絡があり、「どう対応すればいいかわからない」「申告漏れを指摘されそうで不安だ」
という方は、一人で抱え込まず、すぐにご相談ください。

2026年夏、税務署の体制が激変する理由

例年であれば4月頃から本格化する税務調査ですが、今年は少し流れが変わって遅めのスタートとなっています。

その背景にあるのが、税務署内で急速に進められている「バックオフィス業務のセンター集中化」です。

これまで各地域の税務署が個別に処理していた申告書のデータ化や納税者からの問い合わせ対応といった事務作業を、1箇所の大規模なセンターに集約する取り組みが2019年から段階的に行われてきました。

この完全移行の期限が2026年6月に設定されており、7月からは完全に新しい体制へと移行します。

この移行直前期にあたる現在は、税務署の内部がセンター化に向けた準備で非常に多忙を極めています。

そのため、現時点で動き出している税務調査は、時間をかけずに「比較的さらっと短時間で終わる案件」が優先的に選定されているという内情があるのです。

今まさに狙われている「手軽なターゲット」の特徴

現在の税務署はAIやAI-OCRを駆使して申告書をチェックしており、明らかにおかしいデータは一瞬で判別されます。

システムによって自動的に抽出された、いわば「美味しいカモリスト」の上から順に効率よく調査が行われているのが現状です。

特に今やり玉に挙げられているのが、会社員や保険外交員など本業の給与が多い人が、副業の赤字をでっち上げて損益通算し、源泉所得税の還付を受ける「副業スキーム」です。

趣味レベルの活動を事業と偽って多額の経費を計上しているケースは、売上が異常に少ない状態で何年も続いているため、申告書を見れば一発で見抜かれます。

年商300万円以下で帳簿もつけていないような個人の場合、税務署から連絡がいってからわずか30分ほどのやり取りで事業性が否認され、すべての還付を取り消されて雑所得として修正させられます。

件数を稼ぎたい調査官にとって、税理士がついておらず日程調整の手間がない人や、消費税の無申告者、手計算による単純な計算ミスをしている人は、非常に手軽で狙いやすいターゲットとなっています。

夏以降に到来する「税務調査ラッシュ」とAIの進化

センター集中化が完全に完了する夏以降は、現場の調査官が面倒な事務作業から解放されるため、1人あたりが担当する税務調査の件数が劇的に増加します。

さらに、10月からは新システム「KSK2」のAI機能が本格的にリリースされるため、現場の包囲網はさらに狭まります。

夏以降にAIによって真っ先に目をつけられるのは、売上や利益率が前年と比べて「2倍になった」、あるいは「半分になった」というような、

いわゆる「倍半基準」に引っかかる事業者です。急激な数字の変動は、AIが最も簡単に異常値として検出するポイントになります。

また、これまでは個別に処理されがちだった「法人と経営者個人」、あるいは「自社と外注先」といった横のつながりが、データによって瞬時に紐解かれるようになります。

これにより、1箇所に調査が入ると関係先すべてに一斉に調査が及ぶ「全体調査」が当たり前になります。

これまでは見逃されていた売上が数百万円規模の小さな事業者であっても、取引先の網の目が細かくなることで、芋づる式に炙り出されるリスクが跳ね上がるのです。

税務調査の網に引っかからないための事前対策

もしご自身の確定申告に心当たりがあり、「絶対に税務調査が来る」と確信しているような場合は、税務署から連絡が来る前の段階で自主的に修正申告を行うことが最も有効な防衛策です。

税務署から調査の電話がかかってきた後でも、実際に調査官と会う前であれば法的には自主申告の扱いになり、ペナルティである「重加算税」を免れることができます。

しかし、連絡すら一切ない今のタイミングで修正申告を行うことができれば、重加算税だけでなく、5%〜10%課される過少申告加算税なども一切かからなくなります。

また、ご自身で「事業に関係ある経費だ」と主張していても、調査官の一般的な常識という価値フィルターによって否認されるケースは非常に多いです。

プライベートとの線引きが曖昧な費用を計上する場合は、単に口頭で言い訳を考えるのではなく、実際に撮影に使った動画や写真、打ち合わせの記録といった「物的証拠」を日頃から残しておくことが重要になります。

本当に不安な場合は、事前に税務調査専門の税理士に相談して適正な申告に直してもらうことで、税務調査に入られる確率そのものを大幅に下げることが可能です。

おわりに

2026年夏の体制変更を境に、税務調査は効率化されたAIシステムによって、これまでとは比較にならないほど緻密で容赦のないものへと変化します。

「今まで何も言われなかったから大丈夫」という理屈は、これからの新体制では一切通用しなくなります。

迫りくる夏以降の本格的な調査ラッシュを前に、少しでも申告内容に不安がある方や、すでに税務署から連絡が来てしまって困っている方は、手遅れになる前にぜひ税務調査専門のプロフェッショナルにご相談ください。

的確な事前対策と交渉力で、あなたの大切な事業と資産を守るサポートをいたします。