目次
はじめに
税務調査が入ることになったけれど、領収書を無くしてしまった、あるいは元々もらっていなかった……
そんな状況に焦っていませんか? 「領収書がないから経費にするのは諦めるしかない」と思ってしまう方も多いですが、実はすぐに諦める必要はありません。
今回は、税務調査専門で15年以上の実績を持つ税理士が、領収書がない支払いを経費として認めてもらうための「裏ワザ」と「事前の準備方法」を分かりやすく解説します。
こちらの動画を元に読みやすく記事にしております。
現在すでに税務署から連絡があり、「どう対応すればいいかわからない」「申告漏れを指摘されそうで不安だ」
という方は、一人で抱え込まず、すぐにご相談ください。

最も重要なのは「ビジネスの実態」があること
具体的なテクニックをお話しする前に、どうしても外せない大前提があります。
それは、「本当にその取引(支払い)が行われたという実態があること」です。
架空の経費をでっち上げたり、実態がないのに領収書を偽造したりする行為は「仮想隠蔽(かそういんぺい)」とみなされ、重加算税という非常に重いペナルティの対象になります。
これは絶対にやってはいけません。
あくまで「本当に支払ったけれど、手元に領収書がない」という場合にのみ、以下の方法を活用してください。
所得税・法人税で使える!領収書に代わる4つの証明方法

所得税や法人税の調査において、税務調査官が「確かにこれだけの取引があれば、この経費が発生していないとおかしいよね」と納得できれば、領収書がなくても経費として認められる可能性は十分にあります。
そのための具体的な証明方法を解説します。
1. クレジットカードの明細や取引履歴を活用する
最も確実なのは、お金の流れがデータとして残っているケースです。
クレジットカードで決済していれば、利用明細が領収書の代わりになります。最近はWEB明細ばかりで過去のデータが見られないという場合でも、カード会社に問い合わせれば、手数料はかかりますが過去5〜7年分の明細を1〜2週間ほどで発行してもらうことが可能です。
また、ネットオークションの仕入れなどの場合は、購入時のメールやLINE、チャットのやり取り、通帳の出金履歴なども立派な証拠になります。
2. 購入した「現物」と「ネットの相場」をセットで提示する
建築土木業などで、知人から中古の機械を現金で買い、領収書をもらえなかったというようなケースもあるでしょう。
この場合は、その「現物」が社内に存在していること自体が大きな証拠になります。
その機械の型番などをインターネットで検索し、中古市場でいくらくらいで取引されているかの相場情報を印刷しておきます。現物と相場の資料をセットで提示することで、実際にその金額規模での購入があったことを客観的に証明できます。
3. 第3者のサインや、自分自身の「手帳・メモ書き」を活用する
外注費などでその場ですぐに領収書がもらえなかった場合は、後からでも「ここで何日間働き、これだけの報酬を受け取りました」というメモに相手のサインをもらう方法が有効です。
自分以外の第3者が書いた書面は、税務調査において強い説得力を持ちます。
また、仕事関係の付き合いで割り勘になり、領収書をもらい損ねた場合などは、最悪ご自身のメモでも構いません。
手帳やメモに「何月何日、どこのお店で、誰と、何の目的で会い、いくら支払ったか」を細かく記録しておきましょう。
かっこ悪いからと領収書を請求しづらかったシチュエーションでも、このメモがあれば通る可能性が残ります。
4. カレンダーや手帳から飲食代を復元する
過去の飲食代の領収書をまとめて紛失してしまったような場合は、当時のカレンダーや手帳のスケジュールを振り返ってみてください。
そこに残っている行動履歴から「この日は〇〇社と居酒屋へ行き、1人あたり約〇千円支払った」というメモを今からでも書き起こすのです。
特に飲食費に関しては、こうした地道な記録の復元が非常に効果を発揮します。
税務調査官に突っ込まれる前の「事前対応」が成否を分ける
ここで非常に重要なポイントがあります。それは、これらのメモや資料を「税務調査が始まる前に準備しておくこと」です。
調査官に「この支払いの領収書がありませんね」と指摘されてから「実はこうなんです……」とメモを出し始めると、それは単なる「言い訳」や「その場で取り繕った嘘」に見えてしまいかねません。
しかし、調査が始まる前から綺麗にメモや資料が整理されていれば、それは「事前の正しい対応」として受け取られ、調査官に与える印象や主張の通りやすさが180度変わります。
【注意】消費税のインボイス制度後はルールが厳しい

ここまで「実態があれば認められる」とお話ししてきましたが、これはあくまで「所得税」や「法人税」の話です。
「消費税」に関してはルールが格段に厳しくなるため注意が必要です。
2023年10月にスタートしたインボイス制度以降、消費税の仕入税額控除を受けるためには、原則として「インボイス(適格請求書)」の保存が必須となりました。
そのため、インボイスに該当する領収書や請求書がない場合、消費税の計算上は経費(仕入税額控除)として認められなくなってしまいます。
ただし、インボイス制度が始まる前の期間(2023年10月より前)の取引であれば、3万円未満の支払いに限り、領収書がなくてもメモ書きなどの帳簿への記載だけで消費税も認められる特例があります。
調査対象となる期間がいつなのかによって対応が変わるため、ここだけはしっかりと区別しておきましょう。
おわりに

税務調査の連絡が来ると不安になるものですが、領収書がないからといってすぐに経費を諦める必要はありません。
クレジットカードの明細を遡る、現物の証拠を揃える、手帳からメモを起こすなど、実態を証明するためのアプローチはたくさんあります。
大切なのは、調査が始まる前にできる限りの資料を揃えておく「事前対応」です。ぜひ諦めずに、今できる準備を進めてみてください。
もし「自分のケースではどう証明すればいいか分からない」「具体的なメモの書き方に不安がある」という方は、ぜひお気軽にコメント欄で教えてくださいね。


