目次
はじめに

「Suicaでチャージすれば経費になる」「半年で履歴が消えるからバレない」。そんな噂を聞いたことはありませんか?
今回は、税務調査に特化して年間130件以上を対応している税理士の渡辺先生が、Suicaを使った“グレーな経費処理”がいかに危険かを解説しています。
この動画を見ると、以下のようなポイントが明らかになります。
〇 Suicaチャージは本当に経費になるのか?
〇 半年で履歴が消えるリスクとは?
〇 税務署が見ている「証明責任」の本質
〇 誤った処理が「全否認」される怖さ
〇 どうすれば正しく経費として落とせるのか
間違った処理で大きな追徴を受けないためにも、正しい知識を身につけておきましょう。
現在すでに税務署から連絡があり、「どう対応すればいいかわからない」「申告漏れを指摘されそうで不安だ」
という方は、一人で抱え込まず、すぐにご相談ください。

Suicaチャージは経費にならない

SuicaなどICカードへのチャージは、経費にはなりません。これは交通費や物品購入に使うための“前払いであり、いわばJRへの「預け金」「仮払金」という扱いになるからです。
つまり、チャージ=経費ではなく、使用した時点で初めて経費として認められるという点を理解しておく必要があります。
たとえば、1万円をSuicaにチャージして、そのうちの3,000円分だけ業務で使い、残りはプライベートで使用したとしましょう。
この場合、経費にできるのは「業務で使った3,000円分のみ」であり、1万円全額を交通費として落とすことはできません。
半年で履歴が消える=証明不能

Suicaの利用履歴は約半年しか保存されません。ここが非常に大きな問題です。
税務調査は通常、過去3〜5年、場合によっては7年にさかのぼって行われます。
その際、「この交通費は業務上のものです」と主張しても、証拠がなければすべて否認されるリスクがあります。
調査官は「記録が残っていない=説明できない=経費として認められない」と判断します。Suica履歴の保存期限に頼りすぎると、真面目に処理していたつもりの経費まで否認される可能性があるのです。
「Suica=交通費」は大間違い

Suicaを使って移動したからといって、そのすべてが交通費になるわけではありません。
税法上の交通費として認められるには、次のような条件が求められます。
〇 どこからどこまで移動したのか(駅名など)
〇 移動の目的が業務であること
〇 それを示す記録や証憑があること
これらが揃っていない場合、プライベートとの線引きが不明瞭とされ、「家事関連費」として否認される可能性があります。
Suicaで移動するたびに、業務目的であることを記録しておく、Excelなどで履歴を控えておくといった対策が重要になります。
二重経費計上は脱税行為

中には、Suicaでチャージした1万円を「仮払金」とせずそのまま経費にし、さらに個別の支払いで領収書も別に用意し、二重で経費処理する人もいるようです。
これは明確な脱税行為です。
税務調査官からすれば、悪意を持った重加算税の対象となるケースであり、問答無用で否認されます。
調査現場では「これは完全にアウトです」と一発で処理される事案です。
「バレなければいい」という感覚で処理していると、後々大きな痛手を受けることになります。
正しい処理と記録の工夫が重要

では、Suicaを仕事で使うにはどうすればよいのか?正しい対策は以下のとおりです。
〇 チャージした金額は「仮払金」または「預り金」で処理する
〇 実際に業務で使った交通費は、移動ルートや目的を記録する
〇 半年で履歴が消えるため、自分で別途記録を残す
〇 プライベートと業務の利用を明確に区別する
〇 領収書や明細を残し、証拠として提示できるようにする
このように、あらかじめ準備をしておけば、税務調査が来たとしても冷静に説明できます。
逆に「何も残していない」「記憶にない」では、一気に不利になるのです。
おわりに

SuicaなどのICカードは便利なツールですが、経費処理の観点では非常に慎重な扱いが求められます。
「チャージしたから経費になる」「履歴が消えるから大丈夫」といった甘い考えは、調査で痛い目を見る原因になります。
税務調査のプロが口を揃えて言うのは、証拠がすべて。
だからこそ、チャージ=経費ではないことを理解し、業務利用の証明を残すための工夫をしておく必要があります。
このブログ記事の元になったYouTube動画では、こうした実務上のポイントを会話形式でわかりやすく解説しています。
ぜひ動画もチェックし、あなたの経費処理に活かしてください。
正しく処理して、正しく説明できる!それが調査に強い経営者・個人事業主の第一歩です。
今回のテーマについてYou Tube動画で詳しく説明をしております。
こちらも併せてご視聴ください。