はじめに

「税務調査って、うちみたいな小さな事業にも来るの?」

「脱税してるつもりはないのに、調査対象になることがあるって本当?」

そんな疑問をお持ちの方に向けて、今回は令和5年度の税務調査データから見えてきた「狙われやすい業種」と「その共通点」についてお届けします。

税務調査は、ただのランダム抽出ではありません。

業種や規模、近年の売上推移や社会的背景など、様々な要素をもとに対象が選ばれています。

あなたの業種がランキングに入っているかもしれません。

今後の調査対象に近づいていないか、チェックしてみてください。

現在すでに税務署から連絡があり、「どう対応すればいいかわからない」「申告漏れを指摘されそうで不安だ」
という方は、一人で抱え込まず、すぐにご相談ください。



第1章:令和5年度 税務調査で申告漏れが多かった業種トップ5

まずは、令和5年度の個人事業主を対象とした申告漏れ金額ランキングです。

経営コンサルタント(第1位)
3年連続でトップ。助成金や節税コンサルをうたった手法の中に、実質的な脱税が混じっているケースもあり、調査強化が進んでいます。

ホステス・ホスト(第2位)
ナイトビジネスは現金商売が中心。帳簿が不十分になりがちで、税務署にとっては定番の調査対象です。

コンテンツ配信(第3位)
YouTubeやライブ配信など、SNSを通じた収益が対象に。広告収入や投げ銭など、副業で始めて申告を忘れる人が目立っています。

金属くず卸売業(第4位)
金属価格の高騰により利益が増加。現金商売で帳簿が曖昧なケースが多く、税務署のマークが強まっています。

ブリーダー(第5位)
ペット需要の高まりとともに市場が拡大。税務の知識が不十分なまま売上が伸びたことで、申告漏れにつながりやすくなっています。


第2章:狙われやすい業種の共通点

調査対象に選ばれる業種には、次のような傾向があります。

〇売上が急激に増えている
〇現金の取引が多い
〇帳簿が整っていない
〇税務知識が十分でない
〇個人や少人数で運営している

これらの条件に当てはまると、悪意がなくても「うっかり」申告漏れを起こしやすくなります。
税務署は、こうした業種に優先的にアプローチしてきます。


第3章:今後、税務調査に入りやすいと予想される業種

令和5年度のデータを踏まえて、今後数年内に調査が集中しそうな業種は以下のとおりです。

〇ナイトビジネス全般(スナック・バーなど)
〇飲食店(特に焼き鳥屋や西洋料理)
〇自由診療を行う医師(美容外科など)
〇建設・運送系の一人親方(売上900万円あたりで申告調整)
〇太陽光発電(販売・保守いずれも対象)
〇フィットネス系(個人ジム・出張指導など)
〇オンライン教育(語学、ビジネススキル講座など)
〇イベント業(ライブ・物販含む)
〇リサイクル業(古着・金属・中古車など)

「現金」「副業」「急成長」は共通のキーワードです。

思い当たる節がある方は、申告状況を一度見直してみましょう。


第4章:税務署の調査はAIとデータ分析で始まっている

税務署は今、AIやOCR(文字認識)を使って調査対象を選定しています。

大量の申告データを分析し、数字の異常値や業種ごとの傾向を見て、「どこに調査を入れるか」を決めているのです。

しかも、調査は1年分では終わりません。

通常は過去3年分、場合によっては5年・7年分さかのぼって調べられることもあります。

つまり、「今は大丈夫」でも、3年後に調査が入り、過去の申告が精査されるというケースも珍しくないのです。


第5章:税務調査への備えは「記録」がすべて

税務調査においてもっとも重要なのは、「記憶」ではなく「記録」です。

口頭説明よりも、レシートや領収書に誰と・どこで・何のために使ったのかが明記されていることの方が、はるかに重要です。

〇グレーな支出は経費に入れない
〇領収書には「誰と・目的」を必ず書く
〇現金売上は毎日記帳し、裏帳簿はつくらない
〇確定申告は期限内に提出し、数字に根拠を持たせる
〇不安があるときは税理士へ早めに相談する

申告内容に自信がなかったり、帳簿整理が追いついていない場合は、税務調査に強い税理士にサポートを依頼するのが安心です。


おわりに

税務調査は、いつ・誰に来てもおかしくないものです。

ですが、しっかりと備えていれば、慌てずに対応することができます。

今回紹介したように、調査対象には明確な傾向があります。

「自分は関係ない」と思っていても、気づかぬうちにリスクが近づいていることもあるかもしれません。

少しでも不安を感じたら、まずは専門家に相談すること。

それが、余計な追徴やトラブルを避ける最大の防御となります。

今回のテーマについてYou Tube動画で詳しく説明をしております。
こちらも併せてご視聴ください。