はじめに

個人事業主 税務調査

「自営業だから税務調査なんて来ないだろう」
「フリーランスはひとりでやってるから見逃されるはず」そんな油断が命取りになる時代です。

事業形態にかかわらず、税務署は「取れるところからは取る」という姿勢で税務調査を行っています。

特に、自営業・個人事業主・フリーランスは帳簿管理が甘くなりがちで税務署から狙われやすい業種とも言われています。

この記事では、自営業/個人事業主/フリーランスの税務調査の実態や注意すべきポイントをわかりやすく解説します。

知らなかったでは済まされない税務調査の世界を正しく理解し、事前に対策を取っておきましょう。

現在すでに税務署から連絡があり、「どう対応すればいいかわからない」「申告漏れを指摘されそうで不安だ」
という方は、一人で抱え込まず、すぐにご相談ください。


自営業・個人事業主・フリーランスはどのくらいの割合?

総務省「就業構造基本調査(2022)」によれば、本業がフリーランスの人は約209万人で、就業者の3.1%に相当します 。

その半数以上は雇用者なしで事業を行っており、「税務調査なんて関係ない」と思っている方も多いでしょう。

しかし現実には、追加で税金が取れる可能性があると判断されれば必ず調査対象になります。

個人事業主の人数

売上900万円前後は税務署にマークされやすい?

売上900万円前後の事業者は特に注意が必要です。

理由は、消費税の納税義務が売上1,000万円超から発生するためです。

売上が何年も900万円台で横ばいだと、「消費税の免税事業者を維持するために売上を意図的に抑えていないか」と疑われるリスクがあります。

売上900万円台が長期間続いている場合は要注意です。


税務調査は何年分遡るのか?

通常、税務調査は過去3年分が対象です。
ただし以下の場合は期間が延長されます。

  • 重大な申告漏れ → 過去5年分
  • 悪質な脱税行為 → 過去7年分

国税通則法第70条により、原則5年が遡及限度ですが、7年まで遡るケースもあります。

調査官も成果(追徴課税)を求めているため、無意味に5年・7年まで広げることは通常ありません


税務調査の現場の実態

個人宅に調査が入ることは?

自宅兼事務所の場合、明確に業務スペースとして経費計上している部分には調査官が入る可能性があります。

一方、プライベートスペースへの立ち入りは通常ありません。

ただし、生活空間と業務スペースが曖昧な場合は調査リスクが高まるため、スペースの区分けと記録管理が重要です。

万が一発生する追徴課税の額は?

税務調査後に是認(問題なし)となるのは非常に稀です。
実際には多くの場合、追徴課税が発生しています。

  • 平均申告漏れ所得税額:約810万円
  • 平均追徴課税額:約206万円

※これは医師など高額所得者も含んだ平均値です。


個人口座・通帳は調査対象になる?

  • 事業用と個人用の口座が混在している場合提出を求められる可能性が高い
  • 完全に分けている場合個人口座の提出は不要

口座を分けることが、税務調査リスクを下げる有効な対策のひとつです。


顧問税理士がいないと税務調査に入りやすい?

結論:入りやすくなります。

税務署の立場から見ると、税理士がついていない事業者は帳簿の精度が低い可能性が高いため、追徴課税の成果が見込める対象と見られがちです。

税務調査の影響が大きくなりそうな場合は、事前に税理士と契約しておくか、調査の通知後でも税理士の立会いを依頼することをおすすめします。


おわりに

自営業・個人事業主・フリーランスだから税務調査は来ない、というのは大きな誤解です。

むしろ、税務署から見て入りやすい業態とも言われています。

今回ご紹介したポイントを参考に、適切な帳簿管理と税務意識の向上を図りましょう。

いざ税務調査が入ってから慌てることのないよう、税理士など専門家のサポートも上手に活用して、安心して事業を継続できる環境を整えてください。

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