はじめに

「税務調査」という言葉に対して、不安や緊張感を覚える経営者や経理担当者の方は少なくありません。

調査官が会社に来て帳簿を見たり、質問をしてきたり…一体どんなことを聞かれるのか、どこを見られるのか、そもそもどうして自社が対象になったのかなど、わからないことが多いと、つい身構えてしまいます。

しかし、税務調査は必要以上に恐れるものではなく、正しい知識を持ち、日頃からしっかりと準備をしておくことで、落ち着いて対応できるものです。

特に、最近では反面調査や電子帳簿保存など、調査の方法やチェックポイントも多様化しており、最新の情報を知っておくことがとても重要です。

このブログでは、税務調査とは何かという基本的なところから、どのような会社が対象になりやすいのか、調査で特に見られるポイント、調査の種類と流れ、さらには取引先にまで及ぶ「反面調査」への備え方まで、現場で実際に役立つ情報をできるだけわかりやすくまとめています。

「税務調査が来たらどうしよう…」という漠然とした不安を、「もし来ても大丈夫」という安心に変えるために、ぜひ最後まで読んでいただければと思います。

税務調査とは?

税務調査とは、税務署や国税局などの行政機関が、納税者の申告内容が正しいかどうかを帳簿や領収書などを通じて確認する調査のことを指します。

申告額に誤りがあった場合は、計算方法の指導を受け、納税者は修正申告を行い、追加納税をしなければなりません。

税務調査の頻度は決まっておらず5年に1回調査される会社もあれば、10年以上調査が行われない会社もあります。

一般的に、売上や利益が急増した場合や、大規模な設備投資を行った場合など、決算の数字に大きな変化がある企業ほど、税務調査の対象となりやすいといわれています。

また、黒字企業のほうが税務調査の対象になりやすいと考えられていますが、赤字企業でも消費税の関係で調査が行われることがあります。

調査対象となる期間は基本的に3年ですが、悪質と判断された場合は過去7年分が対象となることもあります。

税務調査の種類

税務調査には、大きく分けて「強制調査(マルサ)」「任意調査」の2種類があります。

1. 強制調査(マルサ)

強制調査は、不正な手段で意図的に税を免れた場合に行われる調査です。

裁判所の令状に基づき、納税者の同意なしに行われるため、拒否することはできません。

重大な脱税が疑われる場合に実施され、場合によっては検察官への告発や裁判所への起訴が行われることもあります。

2. 任意調査

一般的に「税務調査」と呼ばれるのは、納税者の同意を得て行われる任意調査です。

通常、1~2週間前に調査通知が送られ、調査に応じなかった場合には罰則が科されることがあります。ただし、強制捜査とは異なり、日程の調整が可能です。

税務調査の約8割がこの任意調査であり、帳簿を正しく管理している企業であれば、特に恐れる必要はありません。

税務調査の対象となる企業の特徴

税務調査が行われる企業の特徴として、以下のような点が挙げられます。

  • 黒字が続いている企業
    • 赤字企業に調査が入っても、追徴課税の回収が難しいため黒字企業が優先される傾向があります。

  • 売上や利益が急増している企業
    • 申告漏れや意図的な不正が疑われるため、調査対象となる可能性が高まります。

  • 経費の計上が不自然な企業
    • 非経常的な経費が多く、退職金や貸し倒れなどが原因で利益が少なく見える企業は、重点的にチェックされることがあります。

税務調査でチェックされるポイント

税務調査では、以下のような点が重点的に確認されます。

  • 売上の計上:売上計上の金額や時期に不審な点がないか。

  • 経費の妥当性:交際費や在庫、架空人件費の計上など。

  • 帳簿の管理状況:適正な処理が行われているか。

税務処理のミスが疑われると、不要な追徴課税を課せられる可能性があります。

そのため、経験豊富な税理士に相談し、定期的に帳簿のチェックを受けることが重要です。

反面調査とは?

反面調査とは?

税務調査の一環として「反面調査」が行われることがあります。

これは、調査対象の企業の取引状況を確認するために、取引先や金融機関などに対して行われる調査です。

正確な帳簿が確認できない場合や、意図的な帳簿の改ざんが疑われる場合に実施されます。

反面調査が行われるケース

  • 帳簿に不自然な点がある場合

  • 偽の領収書が発行されている可能性がある場合

  • 災害や火災によって帳簿が消失した場合

反面調査への対応ポイント

  1. 来社理由を必ず確認する
    • 調査官が訪問した際、必ず調査の目的を確認し、名刺を受け取ること。

  2. 取引先に連絡する
    • 調査が入ったことを取引先に伝え、事実を正しく話すように依頼する。

  3. 調査内容を記録する
    • 取引先との関係悪化を防ぐため、調査内容を詳細に記録し、法的な対応ができるように準備する。

  4. 不正行為に関与しない
    • 過去に領収書の操作や口裏合わせなどを行っていた場合、反面調査で発覚し、企業の信用を損なう可能性がある。

まとめ

税務調査は、企業が適正な納税を行っているかを確認するためのものです。

調査の際に慌てないためには、日頃から帳簿を正しく管理し、適正な税務処理を心がけることが重要です。

特に、税務調査では売上計上や経費計上の正当性が厳しくチェックされるため、証拠となる書類をきちんと保管しておきましょう。

また、専門家のアドバイスを受けながら、常に正しい税務申告を行うことで、不当な指摘を受けるリスクを軽減できます。

今回の内容に出てきた、反面調査に関しては詳しく動画で説明しております。

併せてご覧ください。