いつもお世話になっております、税理士法人クオリティ・ワンです。
さて、12月決算の法人の皆様におかれましては今月に、3月決算の法人の皆様におかれましては11月に、法人税や消費税の前払制度の納税が課せられることがあります。
この法人税や消費税の前払制度は、皆様の資金繰りの観点からすると、決して悪いことばかりではないのですが、前期よりも大きく利益が落ち込んでいる場合は資金繰りの面から問題となります。
そこで、今回のメルマガでは、この中間申告の解説をいたします。
中間申告とは?~「税金の前払制度」です~
法人に課せられる国税には、「法人税」と「消費税」があります。これらの税金は、法人の事業年度が終わってから2ヶ月以内に確定申告をして、全額まとめて納めるのが原則です。
しかし、多額の税金を一度に納めるのは皆様にとって大きな負担になり、短期的な資金繰りを悪化させることがあります。そこで、法人税や消費税では、事業年度の中間に「前払」制度を設けています。これが「中間申告」になります。
イメージとしては、1年分の家賃を大家さんに期末にまとめて払うのではなく、毎月少しずつ払っていくようなものです。すると大家さんも毎月安定的に収入が得られるので、資金繰りの都合がラクになるのでありがたいのです。
税金に置き換えますと、確定申告でまとめて1年分の納税をしてもらうよりも、ある程度一定期間ごとに納税してもらった方が国庫の資金繰りがラクになり、政府としてもありがたいというのが「中間申告」という制度です。
提出義務者について
【法人税の中間申告】
前期の法人税額(正確にいうと前事業年度基準額ですが、1年間に納付した法人税額という理解で良いです。)が20万円を超える確定申告をした会社が対象です。
【消費税の中間申告】
前期の消費税額(正確にいうと前年度の確定消費税額(国税分のみ)ですが、1年間に納付した消費税額という理解で良いです。)が目安として48万円を超える確定申告をした会社が対象です。
中間申告には2種類ある!
中間申告には、次の2種類あります。
【「予定申告」方式(一般的な方法)】
これは、前期の税額をベースに計算する方法です。具体的には、前期の法人税額や消費税額の半分を納めるだけで、中間申告書の提出は不要になります。計算が簡単で、弊法人のお客様の多くもこの方法を選んでいます。
【仮決算」方式(もしもの時に役立つ方法!)】
これは、事業年度開始から6ヶ月を区切りとして、実際に仮で決算を行い、その期間の利益や売上に基づいて中間申告書を提出する方法です。
「え、また決算?」と思われるかもしれませんが、この方法は、会社の業績が前年度よりも大きく悪化している場合に、検討すべき方法です。
ただし、仮とはいえ、決算が必要です。したがって、弊法人報酬も「予定申告」方式よりも高くなります。
中間申告には2種類ある!
例えば、前期は利益がたくさん出て、税金もたくさん払いましたが、今期は取引先がM&Aなどで1社減ってしまい、利益が大幅に減ってしまったとします。
このときに「予定申告」方式で進めると、今期の利益が減ってしまったのに、前期の利益に基づいて計算した税金を納めることになり、一時的とはいえ、資金繰りが厳しくなる可能性があります。
このような場合、「仮決算」方式を選んで、実際に今期の上半期の利益に基づいて税金を計算すれば、「予定申告」方式よりも少ない税額で中間申告を済ませることができ、資金の流出を防ぐことができます。
もちろん、仮決算の作業の少し手間はかかりますが、会社の資金を守るためには非常に有効な手段です。もし、上半期の業績が前期を下回る場合は、ぜひ弊法人担当者にご相談の上、「仮決算」による中間申告をご検討ください。
まとめ
中間申告は、会社の税金を計画的に納めるための大切な制度です。通常は「予定申告」で問題ありませんが、もし会社の状況が前期よりも大きく悪化する見込みであれば、「仮決算」という選択肢があることを覚えておいてください。ご不明な点があれば、お気軽に弊法人担当者にご相談ください。