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リスクを最小限に!「定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請書」はご存知ですか?

いつも大変お世話になっております。税理士法人クオリティ・ワンです。
今回は、リスクを抑えながら安定した経営を実現するために、法人のお客様に「申告期限の延長」をご紹介します。

法人の代表者の中には「大企業は6月下旬に株主総会を開催している。
すると,決算の承認はこの日まで確定しないので,5月の法人税の確定申告期限に間に合わないのでは?」とお思いの方,いらっしゃるかと思います。

おっしゃる通りで,通常であれば法人税の確定申告期限には間に合いません。
そこで,大企業の場合,「定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請書」(※1)(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kakutei_entyo_kisairei.pdf)を提出しているのです。

ただし,あくまで延長は「申告書の提出期限」のみで,納期限は延長できません。
したがって,納付見込額を5月末日までに納付し,利子税(延滞税と似たもの。ただし,損金算入可能。)が生じないよう,対応します。
(ここまでの対応は消費税も同様です。(※2))

【ご案内】

現在,2カ月以内の株主総会開催のお客様のうち,株主総会召集手続の都合などから3カ月後の株主総会開催をお考えの際,定款変更のほか税務署等への「定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請書」もお忘れならないよう,ご注意ください。

※ 株式会社もさることながら,一般社団法人やNPO法人で議決権を有する会員が多い場合,ご検討をお勧めします

なお,令和7年1月以降の税務署等への申請書等提出ですが,書面提出は納税者不利となることがあり,電子申告をお勧めしております。しかし電子申告はごく一部の手続きを除き,環境設定等が難しいことから,会計事務所へのご依頼をお勧めしております。(重要な論点ですので,別途メルマガを発行します。)

なお,弊法人は「定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請書」(後述する消費税や地方税等を含めた一式。)について,11,000円(税込)で申請書作成~電子申告を承っております。

【期限後申告のリスクについて】

それでは,申請書を提出してまで期限内申告をする理由は何なのでしょうか? そこで,確定申告期限内に申告書が提出できなかったことによるリスクを簡単に列挙します。

(1) 納税となった場合のリスク
  ・無申告加算税(本税の5〜20%)
  ・延滞税
(2)  対外的信用力低下のリスク
  ・公的機関や金融機関への申請時,申告書の控えの提示が求められる可能性があります。
(3) 青色申告取消(2期連続期限後申告ないし無申告)の税額増加リスク
  ・赤字欠損金繰越が行えない
  ・青色申告固有の特典が全て消滅

このような経営リスクは事前の対応によって未然に防ぐことができます。
特に法人経営においては、トラブルが発生してからでは手遅れになることも少なくありません。
「申告期限の延長」をしておくことをお勧めいたします。

貴社の安定した経営をサポートするために、今後も有益な情報をお届けします。

参考資料                      

【(※1)定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請が認められるケース】

  1. 定款等の定めにより、又は特別の事情があることにより、今後、各事業年度終了の日の翌日から2月以内にその各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあるため、申告期限の延長をしようとする場合
  2. 通算法人が多数に上ること、その他これに類する理由により法人税法第2編第1章第1節第11款第1目の規定その他通算法人に適用される規定による所得の金額又は欠損金額及び法人税の額の計算を了することができないことにより、今後、各事業年度終了の日の翌日から2月以内に法人税の確定申告書を提出できない常況にあるため、申告期限の延長をしようとする場合
  3. 会計監査人を置いている場合で、かつ、定款等の定めにより、今後、各事業年度終了の日の翌日から3月(通算法人にあっては、4月)以内にその各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあるため、申告期限の延長及び延長期間の月数の指定を受けようとする場合
  4. 特別の事情があることにより、今後、各事業年度終了の日の翌日から3月(通算法人にあっては、4月)以内にその各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあること、その他やむを得ない事情があるため、申告期限の延長及び延長期間の月数の指定を受けようとする場合
  5. 特別の情報があることにより、今後、各事業年度終了の日の翌日から4月以内に法人税法第2編第1章第1節第11款第1目の規定その他通算法人に適用される規定による所得の金額又は欠損金額及び法人税の額の計算を了することができない常況にあること、その他やむを得ない事情があるため、申告期限の延長及び延長月数の指定を受けようとする場合
  6. 4.又は5.に掲げる理由に変更が生じたことにより、延長されている月数の指定の取消しを受けようとする場合又は指定を受けた月数の変更をしようとする場合

【(※2)消費税,法人住民税,法人事業税への対応について】

  1. 消費税…消費税申告期限延長届出書を所轄税務署に提出
  2. 法人住民税・法人事業税(都道府県)…申告書の提出期限の延長の処分等の届出書・承認等の申請書を都道府県庁に提出
  3. 法人住民税(市町村)…異動届を市区町村に提出