いつも大変お世話になっております。税理士法人クオリティ・ワンです。
今回はまもなく確定申告シーズンですので,個人事業者の確定申告をメインとした内容となります。
インボイス導入2年目の消費税申告等の留意点
【2割特例 令和4年分の課税売上高1,000万円超は適用不可】
インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者となった事業者は,
売上げに係る消費税額の2割を納付すればよい特例が適用できます。
しかし,基準期間(前々年。今回は令和4年分。)の課税売上高が1,000万円を超える事業者は,
インボイス発行事業者の登録と関係なく課税事業者となることから,同特例が適用できません。
この場合、今回の消費税は簡易課税又は原則課税により申告します。
なお,事業者が消費税を簡易課税で申告する場合,原則令和5年12月31日までに
「簡易課税制度選択届出書」を所轄税務署に提出している必要がありました。
なお,弊法人では消費税の確定申告が必要な皆様に対しまして,
簡易課税と原則課税のどちらで納税額が低くなるかを事前にシミュレーションし,
各種届出書が期日までに提出できる体制を整えておりますのでご安心ください。
【今度の確定申告から1年分の消費税を申告納付するケースも】
インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者となり,
令和5年に初めて消費税の申告納付を行った場合,10月から12月までの3か月分の取引に係る消費税だけが申告納付の対象でした。
しかし,令和6年分以降は1月から12月まで1年分の取引に係る消費税を申告納付する必要があります。
該当する事業者の皆様は納税資金の準備等に注意ください。
(時事ネタ)令和7年度税制改正大綱
先般公表された「令和7年度税制改正大綱」ですが,簡単に言いますと「減税措置を延長・拡大させつつ,しっかり増税も」です。
増税部分は皆様の経営にも大きく影響しますがあまり触れられていませんので,ここで取り上げたいと思います。
なお,税制改正大綱は「政府与党が翌年度以降の税制を検討したもの」で,法案ではありません。
法案として国会に提出されるときには内容が変わる可能性もあります。
【個人関係(申告所得税等)】
次の2つで課税強化の検討をしていくことが触れられています。
- 年金生活者で給与所得を有する場合
給与や公的年金にかかる所得は,収入金額から一定割合を減額して税額計算を行います。
しかし,双方の収入がある場合,この割合の縮小を予定しています。(高額所得高齢者への課税強化。) - 退職所得
退職所得は,勤続年数に応じた課税の緩和がされますが,退職前に確定拠出年金に係る老齢一時金を受取った場合に限り,退職時の退職手当金等の一時金はその計算上,有利となっています。
そこで,このケースだけが有利とならないよう,所要の検討を予定しています。(課税の公平性。)
【法人関税(法人税等)】
防衛特別法人税(仮称)の創設を2年後から導入する旨,記載があります。
(当期純利益にもよりますが,法人税等の負担が1%程度増加する見込みです。