いつも大変お世話になっております。税理士法人クオリティ・ワンです。
今回は,確定申告も落ち着くと,ふと
「気になっていたあれ(2023年流行語対象となったA.R.E.ではありません(笑))」についてです!
税務署へ提出する書類について,書面で提出するリスクをご存じですか?
【令和7年1月から、申告書等の控えに収受日付印の押なつを行いません】
本年1月より,日本全国の税務署で「納税者の手控えには収受印を押印しない」こととしました。
(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/onatsu/index.htm)
一般の方は,「あっ,そうですか…。」で終わるのですが,税務行政に若干でも心得のある方は「提出したことの立証が行えず,非常に危険」なこと,御察しかと思います。
税務署は膨大な書類を処理するため,ごくまれではありますが
「処理モレ(https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1300359)」や
「書類紛失(https://www3.nhk.or.jp/lnews/saga/20240606/5080017240.html)」があり,納税者が思わぬ不利益を被る危険性があります。
この際に,納税者の唯一の武器が「税務署の収受印のある控え」だったのですが,令和7年1月以降の提出書類からはこの対応が不可能です。
したがって,税務署が「処理モレ」や「書類紛失」をしても,納税者が反証することができず,非常に危険な状況となっています。
このような不利益を被らないためには,すべての手続を電子申告で行うしかありません。
電子申告では,国税庁e-Taxシステムが申告書や届出書を受信すると,「受信結果」が発行されます。
現状,こちらの保全が唯一の対策となりました。
【個人の申告所得税・消費税及び贈与税の確定申告書だけは一般の方でも電子申告可能】
ただし,電子申告ですが,一般の方にとっては難易度が高く,標題の通り,申告所得税・消費税及び贈与税の確定申告書以外はかなり困難です。
これら3つの確定申告手続きがなぜ一般の方が可能なのか?
それは,国税庁がしっかりとしたWEBシステムを用意しているからです。
この3つ以外の手続についても,国税庁が無償のソフトウェアを用意していますが,このソフトウェアが使い勝手が悪く,会計事務所は別途有償ソフトウェアを購入しております。
また,電子申告は改ざん防止のための「電子署名」が必要ですが,「電子署名」を行うPC環境設定が毎年発生するなど,電子申告の機器設定が煩雑です。
(さきの3つの手続は,簡便なID\PW方式が利用できるので,機器類のセットアップも不要。)
したがいまして,一般の方がすべての手続きを電子申告で対応は,難易度が高いです。
なお,筆者は2年くらい前まで税務署に勤務をしており,確定申告期に「環境設定が行えない」という問い合わせが 時々ありました。
【電子申告は会計事務所に依頼が最適解】
現状の電子申告システムにおいては,すべての手続きを電子申告しようとするのであれば,会計事務所への依頼が最適解です。
令和6年末までは「会計事務所への手数料節約のため,書面提出」のご案内も行えましたが,冒頭の通り,税務行政の過失等による書面提出リスクが明確であり,書面提出はお勧めできません。
国税庁側は「控えへの収受印押印廃止」について,次のとおり説明していることから,電子申告対応が必須です。
「国税庁においては、納税者の利便性の向上等の観点から、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」を目指し、申告手続等のオンライン化、事務処理の電子化、押印の見直し等、国税に関する手続や業務の在り方の抜本的な見直し(税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX))を進めているところです。
こうした中、e-Tax利用率は向上しており、今後もe-Taxの利用拡大が更に見込まれることや、DXの取組の進捗も踏まえ、国税に関する手続等の見直しの一環として、令和7年1月から、申告書等の控えに収受日付印の押なつを行わないこととしました。」
なお,弊法人の届出書電子申告ですが,ほとんどのケースは11,000円(税込)で対応しております。
環境設定等に苦慮するくらいであれば,弊法人へのご依頼をご検討ください